ハザマのにんげん。

ひじま

はざま、あらわる。

 放課後開始のチャイムが鳴るとともに一斉に騒がしくなった教室にひとり、誰とも言葉を交わさず、かといって変わった性格をしているわけでも、友達がいないわけでもない不思議な男。そんな男が教室のドアをガラッと開くという先手を打った。いつものことなのだが、やはり誰もが彼を一瞥し、時の止まったような空間は彼が姿を消すことで再び動き出すのである。

 某アニメには気配を常に消すことのできるヤツも居た気がするが、それとはまた違う異端さ。技術を使わずして、本来の自分でああなっているのだった。

 そんな男の名を佐藤一。名に恥じない真面目な性格の持ち主である。高校生にしては少しダンディーな顔つきだが、それさえも上回る素っ気なさで周りからの興味は地に落ちる。そして現在の彼があるわけだが...

 

 「なんであの人のことずっと見てんの?」

 「なにが?、、、てえ?見えてんの」

 「は?」


友人が彼を常に目視している、そんな異常事態が発生した。

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