プレゼントボックス
あーくん
風船
ある女の子が居た
その女の子は両親に赤い風船を買って貰った
眼の前でふわふわと浮く初めて見る風船は女の子の視界いっぱいに広がった
しばらくつついてみたり引っ張ってみたりしていたが
風船はふわふわとそこにある
女の子は不意に風船から手を離した
青い空にゆらゆらと昇っていく赤い風船を女の子は満足そうに見つめた
その日から女の子は毎日赤い風船を集めては一つずつ飛ばし始めた
両親は最初こそ心配そうに見つめていたものの女の子の満足そうな表情を見て
次第に温かく見守るようになった
お遊戯会の前日、遠足の帰り、体育祭の日…
女の子は一日も欠かすこと無く飛ばし続けた
雨の日も、雪の日も…熱を出していたって自らの手で飛ばし続けた
一体今までいくつの風船を飛ばしたのだろうか
少女はそんなことなんて気にしていなかった
ただ毎日風船の紐から手を離すのだ
泣いていても怒っていても
何かが風船に乗って空まで昇ってくれるのだ
ある日女性は青い風船を手に取った
風船から手を離すとその風船は地面に落ちた
女性はその風船をじっと見つめた後
何もせずにその場を立ち去った
その女性が風船を持つことは二度と無かった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます