第14話アダマンタイトを探せ!

 地下洞窟生活3日目。

 そろそろ地下の生活にも慣れてきた。


 それでも早く地上に帰りたい!


 硬い岩場の布団(ただの地面ともいう)で寝たせいで身体の節々が痛い。

 ゆっくりとネコのポーズで身体を伸ばす。


 さて、今日も頑張ろう!


 昼夜を確かめる方法がないから、1日経ったのかどうかもわからないけれど。たいまつの消費具合からそんな感じがする。

 これぞ火時計。


 そんなわけで今日で遭難……、3日だっけ?

 2日目の気もするけど細かいことはいいや。


 新しく錬成した石のツルハシを持って、昨日(?)の続きを再開する。たいまつもそうだけど、ツルハシの材料となる木に限りがある。


 ダンジョン牛がいたからどこかに赤茶の木でもあるかと期待したけれど、ダンジョン牛のいた場所は行き止まりで全面に岩盤があるだけだった。

 行き止まりの岩盤から湧いて出たようだ。

 ダンジョンの不思議である。


 とにかくツルハシを作る材料や食料がなくなってしまうと詰みなのだ。それまでにアダマンタイトの塊をあと2つ!


 それと鉄を錬成させれば岩盤に負けないツルハシが出来て、地上に帰る道を掘ることが可能だ。

 ダイヤモンドの方が高く売りやすいから、この際、ダイヤモンドでもいい!


 そんな野望がついに身を結んだのか、ボコッと穴が空き、その先に大きな空洞による暗闇が見える。


 その出口にちょんっとたいまつを立ててから、慎重に暗闇の先をひょっこりと頭だけ出して覗く。


 暗闇の先にはモンスターがいるからね、慎重に、慎重に。

 ……フラグじゃないよ?


 顔を出した先にモンスターがいたら一瞬でお陀仏だぶつというやつであるが、このときは僕の幸運が勝った。


 たいまつの明かりに照らされて見える先は深い谷というか崖が広がっている。

 それでも階段状になっている感じで下まで降りれそうな気配もする。


 ならば、と僕はタギってきた!

 つまり興奮してきた。

 これは行くべきなんじゃない!?


 谷の底は暗い。

 暗いがそこには魅惑のダイヤモンドが待っているかもしれない。


 人は不思議である。


 明らかな暗闇なのに、宝石という欲望の前には暗闇の穴すらも光輝く未来のようにすら感じるのだから。

 ちなみに何回、目をらしても真っ暗闇の穴は真っ暗闇のままである。


 そう、僕は調子に乗ったのだ。

 でも大丈夫。


 調子に乗ったことを自覚した僕は一度、穴から顔を引っ込める。それから、その場で座って携行食に加工した干し肉をモシャモシャと食べて、水をゴキュゴキュと。


 腹は減っては戦はできぬとは名言である。

 努力すれば夢が叶うよりも地に足がついている名言だと僕は思う。


 まあ、とにかく人間、冷静ではないときはなにか食べるのが良い。

 頭に栄養を届けるのだ。


 フヒー、とひと心地つけてから僕は再度、穴から顔を出す。モンスターはいない、というか見えない。

 だから多分いない。


 上を見ると切り立った崖のようになっていて地上の光はは見えない。きっとずっと上の方は岩盤が覆っているのだろう。

 僕は真っ暗闇の穴を選択した。


 ぴょんぴょんと階段状になっている谷を下っていく。


 谷の底らしき広い場所にまで降りきると、僕は考えるよりも先に松明を立ててぴょんぴょんと走りまわる。

 見よ、これが松明撒き散らし安全地帯術だ!


 そうやって松明をそこらに置いて、モンスターが近寄って来ないようにした。圧倒的松明の物量がないとできない技ではある。

 手持ちに不安がないからできる技でもある。


 ……僕、遭難してるよね?


 物資に不安がない遭難者とは、スローライフの隠語かもしれない。でも、食料はあと1ヶ月分ぐらしかないから不安かも?


 ……遭難ってなんだっけ?


 ふと顔をあげた松明の光が届かぬはずの暗闇の先。

 仄かな灯りが見える。


 ああ、これこそが幻視陽げんしようという現象かと、僕は感動した。

 蜃気楼のようにあり得ない光が見えているという話で実際はただの闇だ。


 僕は大自然の偉大さを体感しながら、ウキウキとしながらその灯りの下へ松明の道を繋げていった。


 実際は果てない闇なので、いつまで松明を置いてもその先は闇なんだけどねぇー。こういうのはロマンなのである。ロマンゆえに仕方がないのだ(?)


 でも、近づくとその灯りは松明の灯りであることがわかった。いましも消えそうな残り僅かの松明のそばに誰かが寝転んでいる。

 どうやら僕は闇の果てにたどり着いてしまったようだ。


 薄汚れているけど、伝統の忍び装束らしき服を着込んだ女のようだ。地下世界は割と快適な気温ではあるけど、それでも暑くないのかな?


 もう暑さとか感じないかもしれないけれど。武士の情けとばかりに新しい松明を置いてやった。ま、こうしないとモンスターが寄って来ちゃうから、僕の安全のためだけどね。

 ナムナム(ー人ー)


 僕の祈りが通じてしまったのか、死した忍者コスプレの女がもぞッと動いた。

 ゾンビとかだったら危ないなぁーと考えていたら、女はパッと飛び起きた。


「はっ!? ここは地獄でござるか!?」


 うん、なんか濃いの拾ったでござる。

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