食べ物短編集「いただきます」
RAN
名寄ジンギスカン
知ってますか? 名寄ジンギスカンって。
そもそも名寄がどこかって話からですよね。
名寄はですね。まず北海道で知っている都市はどこですか?
札幌ですかね。
そうしたら、札幌が北海道の地図の左下側、ちょうどくぼんでいる所に位置しているのは知っていますか?
ご存じでしたか。さすがですね。
それでしたら、そこから右上に線を引きまして、真ん中の三角形になっている部分の下辺りに、名寄が位置します。
旭川とも近いねですって? 旭川もご存じで。それはよかった。
そうですね。旭川から車で一時間ぐらいで着きます。
え? 七六.二キロメートルも離れてるじゃないかって?
大丈夫ですよ。本当に時速六〇キロで走れば一時間ぐらいで市街地に着きますから。
走ってみればわかります。北海道は信号もないし、道が真っすぐだし、渋滞もしないから本当にすぐ着きますよ。
話を戻しますね。
で、その名寄で食べるジンギスカンが少し独特なんです。
だいたいジンギスカンってあのジンギスカン鍋で焼くことを想像しますよね。
違うんですよ、名寄は。
浅底の鍋で煮込むんですよ。
煮込みジンギスカンなんです。
見た目は普通の鍋みたいな感じですね。
具材も、ジンギスカンで食べるとイメージしているものがだいたい入っています。
野菜、肉、シメにうどん。これは変わりませんね。
煮込むので、味が具材に染みて、具材もやわらかくなるのでとても食べやすくなります。
なので、肉に漬けているタレの味がものを言いますね。
私は、この煮込んだジンギスカンが大好きなんですよ。
そして、地元の肉屋で出しているジンギスカンがとても好きです。
実家に帰ると、それを必ず頼みますね。
故郷の味でもあります。
あの味は何と言えばいいのか。
きっと果物とかも入っているのでしょう。
酸味もあって、ちょっとどろっとしたところが具材によく絡んで。
具材の焼き方の順番は一緒ですね。
肉を入れて焼いて、その肉から出た汁とタレに水も加えて、それで野菜を煮込むと味がついていきます。
イメージがつきますか?
あぁー、話していたら食べたくなってきました。
なんと、今は便利な時代になりまして、大きなスーパーだと冷凍でも売ってるんですよね。
ちょっと北海道で買うよりは高いですけど……。
でも地元で買う肉も、質は違えど同じぐらいの値段だからまぁいいか、ということにしています。
どうですか? 一緒に食べてみます?
今日は話を聞いてくれて気分が良いので、我が家に来てくれたら作ってあげますよ。
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