第9話 S級探索者からのアドバイス
「配信みたぜ勇也!お前意外とスゲーんだな!」
C級探索者になれた喜びで碌に眠れなかったおれに朝一番で話しかけてくるのは古くからの親友である奏太だ。
「…話しかけるのは二限からにしてくれよ、眠いんだ。」
「お前が遅寝だからじゃないのか?もっと早く寝ろよ。」
「でさー、お前に触発されて俺も探索者になろうかなあって思ったんだよな!」
「うん…うん」
「…聞いてねえな。」
つまんねーの。そうつぶやいて奏太は自分の席に戻っていった。
チャイムの音で目を覚ます。
「じゃ、ここは昼休憩中にでも復習しとけよー。」
ドアを開ける音と共にそう気だるそうな声が聞こえる。
復習…昼休憩!?ホームルームで起きる予定だったおれは予想外の言葉に頭を上げる。
「ってうわああ!?」
顔を上げると目の前には見知った、とは言い難いが知り合いではある人間。新居遥斗がいた。
「人の顔を見て叫ぶのは失礼じゃないのかな?」
そう問いかけてくる目の前の男はいつにも増してニコニコしていた。
「遥斗様が話しかけてる…」
「いったいどういう関係なのかしら…」
コソコソと遠巻きに話す声が聞こえ、いたたまれない気持ちになる。ただの知り合いなのに…
遥斗は屈み、おれと目線を合わせる。くそっイケメンだ…
「何の用なんだ?遥斗。」
おれは早めに話を終わらせようと要件を聞く。
「要件…か、ただ一緒にお弁当を食べようと思っただけなんだけど。」
「ダメだったかな?」
そう言って弁当が入った袋を見せてくる。
「うんだめ、一人で食べてきてくださーい。」
「わあ、酷いこと言うね。僕泣いちゃうよ。」
「まあ冗談はここまでにして。」
そう遥斗は手を叩き、真剣な顔になる。
「僕が話したかったのは探索者のことなんだ。弁当も食べに来たけど。」
「ステータス」
そう遥斗が言うとおれの前にウィンドウが表示される。
─────────
新居 遥斗
status ROLE<ソーサラー>LV200
HP 2500 MP1250
STR425 DEX359 CON500 INT250
《魔法》
・雷撃 ・氷結 ・毒牙
・火球
《スキル》
〖魔法無効〗 〖打撃耐〗 〖毒耐性〗
【マナ操作】【武闘家の闘気】 【挑発】
【怪力】etc…
──────────
「ええ…なにこれ」
いきなりウィンドウが表示されたかと思えば、バケモノ並みのステータスが記載されていた。
「これが僕のステータスだよ。」
いつの間にか机をくっつけていた遥斗がそう言ってくる。
「ん?このロールってのなんだ?」
おれのステータスには記載されていないものを見つけ、質問をする。
「ああ、それはゲームでいうジョブとか職業に値するものだね。持っているロールによってステータスの伸び方が違ったり覚えるスキルが違うんだ。」
「へー、どうやって手に入れるんだ?」
「そのことなんだけど…君この前のダンジョンの魔石って全部売ったでしょ?」
そりゃ金になるものだ。売る以外の選択肢はないだろう。
「売った。」
「やっぱり。ロールを手に入れるには魔石が必要不可欠なんだよ、それもボスモンスターの。」
ボスモンスターの魔石も一つあったのだが売ってしまった。
おれは過去の自分を責めたくなるが、もう遅い。
「そう落ち込まなくてもいいよ。」
そう言いながら遥斗は弁当箱を開けだす。
「もう食うのか?」
「もうって…今食べなきゃいつ食べるつもりなんだい?」
「それもそうか。」
おれも弁当を取り出し、食べ始める。
「そうそう、せっかくだしロールの仕組みについても教えておこうかな。」
そうして教えてもらったのだが、結構複雑そうだ。
まとめると、ボスモンスターの魔石を砕くことでロールが与えられるらしい。
そのロールが選ばれる基準だが、過去五十回の戦闘方法や結果から選ばれるらしい。が、ロールを狙って出す。なんてことは難しいそうだ。
なにせ千種以上あり、まだ未知のロールが数多くあるそうで一般的な、いわゆるコモンロールくらいしか狙って得ることはできないそうだ。
そしてロールはガーディアンというボスモンスターの魔石を砕けばいつでも変えることができるそうでA級以上の探索者はたいてい一つ以上は持ち歩いているそうだ。
で、その横に表記されていたレベルというものはこれまたボスモンスターの魔石を砕くと上がっていくそうで、レベルが上がるたびにステータスが上がりやすくなり、さらにポーションのように回復もできるそうだ。
魔石ってスゴイ。
「へー、勉強になったわ。ありがとさん。」
「いやいや、新人を育てるのは先輩探索者としての常識だからね。」
そうして昼休憩は終わった。
午後の授業はもちろんちゃんと受けた。五限はちょっとウトウトしてたけど。
♤♠♤
彼こと蓮枯勇也はかなり有望な逸材だ。
依頼が立て込んでおり、見れたのは序盤だけだが、すでに新人を逸脱した動きをしていた。
「ふふっ」
思わず笑みが零れる。
彼ならばA級になるのも容易いだろう。そうしていずれ
楽しみにしておこう。
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