そして2026年が始まった
前項では2025年冒頭から動き出したトランプ関税政策について、その狙いとなりゆきに対する展望を書いてみた。概ね予想は外れなかったと思う。
さて、年が改まり2026年。これからどういうことになりますかね。正月の徒然につらつら考えてみよう。
■中国は三重苦……?
不動産バブルの崩壊に代表される国内経済低迷、少子高齢化の進行、計画経済の破綻。これは厳しいねぇ。
他人事のように言っていられない。前の二つは日本も過去に経験した、または現在進行中の問題だ。
どれも深刻だが、最も本質的かつ構造的な難問は計画経済そのものの破綻だろう。これは旧ソ連、旧東ドイツなどが経験済みの爆弾だ。国家経済すべてを計画のもとに統制しようという理論はあくまでも机上の空論であって、人間には不可能だということは歴史が証明した。
中国が見かけ上先進国化を果たせたのは、「永続的経済成長モデル」という架空の概念を共産党独裁による強権をもって強引に推し進めたことによる。
相対的な低コスト、膨大な労働者人口という環境に恵まれた面もあろう。しかし、それは既に失われつつある。
恣意的(計画的)に据え置いた対ドル為替レート(元安)は貿易黒字の支えになりつつ、国民生活全体を豊かにすることにはつながっていない。輸入物価は高止まりし、庶民の購買力は高成長とは裏腹に低迷する。
結果生じたのは国民の二極化だ。富裕層に富は集中し、庶民は苦しい生活から脱出できない。都市と地方の格差も広がるばかり。
将来を展望することができない庶民は子供を産み育てることを放棄する。生きるための選択である。この辺は日本にも共通した話だが、中国のそれはさらに悲惨だろう。
中国という巨大国家は計画経済のしがらみに縛られ、今にも砕け散る寸前だ。ミシミシときしむ体が今にも砕けようとしている。
■いきなり崩壊されても困るわけで……
日本はもちろん世界各国にとっても中国経済の存在は大きい。いきなり崩壊されれば世界恐慌が起きかねない。
だから、トランプ先生としては中国には静かにご臨終を迎えてほしいところだろう。
一見手ぬるく見える対中政策は、息の根を止めないための「手加減」なのだ。追い詰めれば野犬は牙をむく。
ロシアがウクライナを入手せんとしたように、中国は台湾や東南アジアへの覇権を目指し、軍事行動を起こしかねない。
それはそれで世界経済の停滞を招く。そんなことはもうこりごりでござる。
■じゃあどうする……?
近所にゾンビがいたらどうしよう? そんな状況を想像してみる。
派手に撃ち殺すと「ゾンビ・ウィルス」がまき散らされて、パンデミックが広がってしまう。そういうハザード系のゾンビだ。
結局、隔離しようということになるのではないか。塀なり檻で囲って、その中で静かに生活してもらう。外部との接触を断つ。
餌を与えず、静かに死を待つ。
トランプの対中政策とはそういうものだと思われる。
だから100%関税を押し付けない。アメリカへの輸入について徐々に蛇口を閉めてやればいいのだ。中国がじり貧になるように誘導する。
低コスト品の輸入ができなくなるアメリカ側の弊害は、減税と外資導入による国内製造業振興&雇用創出でカバーする。その財源は関税収入と、交渉でもぎ取った日本や韓国からの直接投資だ。
無茶苦茶に過激なことをやっているように見えて、トランプにはトランプの戦略がある。その辻褄は合っているのだ。
■トランプ関税は憲法違反というけれど……
トランプは安全保障という大義名分によって関税を正当化している。しかし、司法府からは大統領権限の濫用を指摘する声が聞こえる。
まあ、濫用だろうね。法的に評価したら権限逸脱、憲法の不当な拡大解釈という結論が出されるだろう。
だが、それはいつになる?
ああだこうだと論争している間に時は経つ。トランプは先行逃げ切りを狙っているのだろう。かけてしまった関税はなかったことにできない。その間に歴史の時計は針を進めてしまうのだ。
最短でも二年。あわよくば四年。
ごねてごねて、ごね通して、関税が既成事実化する期間を稼ぐ。それが当初からの腹積もりに違いない。
その数年間が中国の衰退を不可逆な現象として決定づける。
アメリカでは投資が進み、雇用促進により景気が上向きスパイラルに入る。それとともに不法移民を段階的に送還する。
これをもって「MAGA(Make America Great, Again)」を貫徹するというわけだ。
■そんなにうまくいくものか……?
簡単ではない。しかし、成功する可能性は決して低くはない。
日本はMAGAが成功する可能性に備えるべきだろう。さもないとMAGAは「MOAGA(Make Only America Great, Again)」になってしまう。MAGAモデルはアメリカだけを守るモデルであり、他国のことなど考えていないのだから。
中国が沈めば世界も沈む。EUも日本もマイナス影響を免れない。
ボケっとしていると、日本は「世界の工場」である中国という低コスト品供給元を失い、大きな消費地(輸出先)を失うことになる。一方通行の失いっ放しだ。
■やっぱUSAだよねぇ……
代替策は「MAJAGA(Make America and JApan Great, Again)」しかない。アメリカもいいけど、日本もね、と便乗させてもらうのだ。
日本製鉄があれほどの不平等条約(?)を飲み込んででもUSスチール買収を完遂しようとしているのは、そういうことだ。商売はどこでやってもいい。アメリカにへばりついて生き残るのだ。
日鉄以外の日本企業、日本国民もやるべきことはほぼ同じだろう。
アメリカ国内に投資し、アメリカ人を雇用し、アメリカで物を売る。アメリカから輸出してもよい。そうやって生み出した富を日本国内に還流する。
あわよくば、日本からも人材を送り込み、働き先としてもおこぼれに預かりたい。
日本国内はどうする? 輸出依存経済からは脱却する必要がある。
単純に言えば「持株会社」的な企業形態を目指せばよい。アメリカに作る子会社を管理するお仕事だ。
金利を上げて円高誘導し、輸入貿易で幸福な生活を目指す。
インフレに苦しむのではないか?
そこで活きてくるのが地政学上のメリットだ。海を隔ててすぐ隣にはゾンビランドがあったじゃないですか。ゾンビは取り込みたくないが、「元ゾンビ」が作る物品については買ってあげなくもない。
そう。共産党独裁体制が崩壊した後の大陸を自由主義経済の一翼として育てればいい。それができるのは日本をおいてほかにないと、そう思うのである。
2026年正月、そんな初夢を見た。
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