第22話
体育大会まであと一週間。
放課後の騎馬戦練習は順調で、昨日の2年生の全体練習では最後の一組に残ることができた。
クラス練習の休憩中、もうすでにヘトヘトな私はベンチに座って、そこら辺を走り回るハジンとユナを眺めていた。
あの二人、本当に体力が底無しなんだよな〜。
どれだけ走っても休憩してるところなんて見た事が無い。
ぼーっと座っていると、テグァンが人半分くらいのスペースを空けて隣に座った。
いつも練習の休憩中は、こうしてどちらも無理に喋るでもなく、ただただ二人で座っていることが多かった。
少し気まずい空気だが、だんだん慣れてきたところだった。
「…あ、あのさ…」
「あれ、モモちゃん達も練習してたんだ。」
テグァンが何か言いかけた丁度その時、ベンチの横の壁からひょこっと顔を出してきたハニ先輩。
その可愛さに、少しクスッと笑ってしまう。
ハニ先輩の後からゾロゾロと3年生のグループが入ってきた。
「はい。今丁度休憩中なんです。先輩も練習ですか?」
「そうなんだ。よかったら一緒にやらない?」
という先輩の提案により、私達のグループと、ハニ先輩のグループで対決することになった。
「じゃあ後でね。負けられないからね。」
笑いながらそう言って、先輩のグループの方へ駆け寄っていく先輩。
ユナ達に今のことを伝えに行こうと席を立った時、さっきテグァンが何か言おうとしていたことを思い出し、テグァンの方へ振り向いた。
そこにいたテグァンは、少しがっかりしたような、寂しそうな表情をしていた。
やっぱり、さっき無視しちゃったからかな…
すごく申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「さっきはごめんね。さっき、なんて言おうとしたの?」
声をかけると、パッと顔を上げて、目がバチっと合う。
「その、今日、一緒に帰ろうって言おうと思って…」
徐々に顔が下に下がっていくテグァン。
「うん。あ、でも今日部活あるからちょっと遅くなるかも…」
「っ全然大丈夫、!終わるまで待ってる。」
「あ、ありがとう。」
「じゃ、じゃあ、また後で。」
少し顔に笑みを浮かべて、先にユナ達の方へ向かうテグァン。
初めてテグァンの笑った顔見た。
あんな顔して笑うんだ。
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