第12話

ベッドに入って目を瞑った時に、今日あったことがフラッシュバックしてくる。


私、先輩と手が当たったんだ…

当たったというか、握られた、?


急に恥ずかしくなって叫びたくなる。

さすがに夜なので叫ぶ訳にもいかず、枕に顔を押し付けて体をバタバタとさせる。

このままじっとしていたら恥ずかしくて死にそうだから。


うぅぅぅぅぅぅぅぅん…


声にならないうめき声を枕の中で上げる。


どうしよう、先輩に触っちゃった。

先輩の手暖かかったな。


いやそんなこと考えてる場合じゃない!


初めて男の人に触れたかも…

それがハニ先輩だなんて。

あの後も先輩の顔まともに見れないし、見たらあの事思い出しちゃって緊張するし、たかが手が触れただけでこんな風になる自分が恥ずかしい。


考えても仕方がないと、仰向けに寝て目を瞑る。

暗くてシーンと静まり返った部屋は、私を眠たくさせるどころか、余計に胸のドキドキという音が聞こえてきて眠れなかった。










「金曜日あそこのトッポギ食べに行かない?」


次の日の朝、ユナがそう聞いてきた。

どうやら近くにユナのおすすめのトッポギ屋さんがあるらしい。


「行きたい!」


二つ返事でそう返し、金曜日の放課後に食べにいくことになった。

初めての友達とお出かけだ。

今からウキウキして仕方がない。


それからもトッポギの話、引っ越してから遊びに行くのが初めてなのでワクワクしていること、放課後にいつもしていることなどで盛り上がる私たち。

本当にユナとだったらどんなに小さいことでも盛り上がれるし、話題が尽きない。


「そういえばもうすぐ体育大会だね。」


ここの学校も日本と同じ10月に体育大会なんだ。


「日本もこれくらいの時期だよ。」


「この学校の体育大会はガチだよ〜。全学年対抗の騎馬戦とか放課後練習あるからね。」


思ったよりガチだった。

体育大会といえば騎馬戦だけど、日本では一度もしたことがないし、まさか韓国で出会えるなんて。

それに放課後練習もあるなんて、本番はどれだけ激しい試合になるんだろう。

それだけ聞くと少し怖気つく。


その時、またバチっとカン•テグァンと目が合う。


いつものようにすぐに目を逸らされて、カン•テグァンは机に伏せてしまった。


すぐに机に伏せてしまうくらいに、私のことが見たくないくらいに私のことが嫌いなのかな。

だとしたらなんでこんなに高頻度で目が合うんだろう。

どちらにせよ、嫌いなら見なかったらいいのに。

だんだんと怒りさえ湧いてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る