第10話
「モモ、アンニョン!」
そう言って毎朝抱きついてくるユナ。
前まで勢い余って倒れちゃいそうだったけど、最近はなんとか持ち堪えられるようにもなってきた。
「ユナ、アンニョン。毎朝びっくりさせないでよ〜。」
「ごめん、ごめん。ついそうなっちゃって。」
イタズラがバレた子供のような顔で謝ってくるユナ。
そして毎朝1時間目の授業が始まるまで喋る。
これが私のいつものルーティーンだ。
ユナと楽しくお喋りしていると、
うっ、また視線を感じる。
最近やけに視線を感じるようになった。
パッと視線の先を見ると、カン•テグァンと目が合う。
あ、やっぱり。
ユナの言っていたバスケ部のエース。
今まで一言も話したこともないのに、最近やたらと目が合う。
そして目が合った時には、必ず逸らされるか机に伏せるかの二択だった。
そして今回も例にも漏れず視線を逸らされた。
そんなことをされて気分が良いはずもなく、不快感は徐々に積もるばかりだった。
まだ一度も話したこともないし、ましてや嫌われるようなことをした心当たりもない。
そんなに嫌いだったら見なかったらいいのに。
・
「それでここのxの値が出るから…」
苦手な数学の授業中。
ここ最近ユナといっぱい話すようになってリスニング力が伸びたのか、大体の授業内容は理解できるようになってきていたが、国が変わっても数学が苦手なことに変わりはなかった。
ふと顔を前に向けた時に右斜め前の席のカン•テグァンとまた目が合う。
そしていつものようにパッと目を逸らされる。
前を向き直った彼の耳は少し赤いように見えた。
私よりもカン•テグァンの方が席前なのに。
なんでわざわざ一番後ろの席の方に向いているんだろう。
やっぱり何か嫌われるようなことしたのかな…
一度考え始めたら止まらない性格のせいで数学の授業中も、もしかしたら何かしてしまったんじゃないか、とずっと考えてしまい、結局不安な気持ちは変わらないまま授業は終わった。
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