第9話
それから3週間が経ち、徐々に新しい生活にも慣れてきた頃。
「今日も頑張ってな。」
「ありがとう。お父さんもね。」
毎朝お父さんに学校まで送ってもらうのも、もはや恒例と化していた。
必ず車を出る前にお互いに挨拶をする。
車を出ると気持ちいい晴れの日の匂いが私を包む。
初日の快晴が嫌だったのが嘘のように、今では大好きになった。
「ア、アニョハセヨ。」
「アンニョン、モモちゃん。」
そして、数日前から教室へ行く途中でハニ先輩に出会うようになった。
「いつもお父さんの車で来てるんだね。」
「はい。家近いんですけど仕事行くついでだからって。」
そして、教室に行くまでに少し雑談を交わす。まだ少し緊張しちゃうけど。
「優しいお父さんだね。僕も家近いんだけど、モモちゃんはどこ住んでるの?」
「えーと、あの大通り方面で、あの、近くにセブンイレブンがあるんですけど、あのごめんなさい、まだここら辺の土地勘なくて…」
「もしかしてあのマンションかな。何個か棟が分かれてて、中庭に公園みたいなのがあるとこじゃない?」
「そこです!どうしてわかったんですか!」
「僕もそこの3棟に住んでるよ。モモちゃんは?」
「私は1棟です。」
まさか棟は違えど同じマンションだったなんて。
「そっかー、僕たちずっと近くに住んでたんだね。」
そう言ってニコッと笑う先輩。
先輩の笑顔がキラキラ眩しいほどに輝いている。
「じゃあまた放課後ね。」
またあの眩しい笑顔を向けると、手を振って教室へと歩いていく先輩。
そして私も先輩とは反対方向の教室へと向かった。
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