ただのニートな遊び人が魔王討伐するまで
@ryoutam
第1話
この世界はかつて平和だった。国同士の国交も豊かだったり、何かと平和な雰囲気を醸し出し、まさに楽園(ユートピア)といっても過言ではない。だが、その平和など続くはずもなくといった所か。突如現れた魔王によって一瞬にして、平和は崩壊した。そんな世の中になってから世界は破滅へのカウントダウンを刻む。一刻、刻一刻と。魔王を許すな、魔王は倒すべき敵だ。
で、アタシは誰かって?変なこと聞くね。アタシはツクヨミ、魔王討伐を掲げ、勇者様の元で戦う魔法使いだよ。ま、魔法使いって言ってもね、まだまだひよっこだけどね。
「ふぅ、この町は大丈夫そうかな」
そう、私は王都ビスマのパトロールをしている。ま、王様が依頼してきたからね。正直、緊張してるね、勇者パーティに入ったのは、親のつてだし。確かに魔王は許せない、でも、荷が重いなと思う。そんな不安を元に、カジノをパトロールしてる時だった。
「なんだ、アイツ、伝説の剣を手に入れやがったぞ!?」
「すげぇ、アイツ。運だけで目玉商品の伝説の剣を」
いや、伝説の剣をこんな治安の悪いカジノで出しちゃダメでしょ!?というか、どっから持ってきたの!?いやいやいや。
「ん、なんだ、ロリ?お前、こんなとこウロついたらダメだろ?オヤジか、お袋はいんだろ?連絡してやるからよ。」
「ロ、ロリって。失礼ですね。一応これでも20歳ですよ。お酒だって飲めますから。というか昼間っからカジノ入り浸って、飲んだくれてる人に言われたくないです、誰なんですか、あなた!?」
アタシは必死に目の前の明らかにダメな人間に物申した。こんな人に、コンプレックスである低身長をイジられたくない。すると、目の前のダメな人間が答えた。
「おれぁ、クラウドつぅんよ、で、オマエこそなんだよ。ロリのくせに突っかかってきて、ロリは好みじゃねぇんだ。」
「ロリじゃないですよ、ツクヨミです!ツ・ク・ヨ・ミ!というか、昼間から飲んだくれて何やってるんですか!?」
流石にアタシは悔しくなって言い返した。この人はただの遊び人な筈なのに、遊び人相手にムキになって。アタシは何をやってるんだろ。
「るせぇな、別にいいだろ、おれぁ、遊びてぇんだ、酒場に行って、女と」
「もういい、見損ないました。というか、あなたって人は、サイテーですクラウドさん」
アタシはただただ腸が煮えくり返った。なんだよ、このダメ人間、ホントに魔王が支配しているのに、何の状況もわかっちゃいない。アタシが怒ってその場を離れた時、爆発音が盛大に鳴り響いた。
「な、何だ!?」
町の人はザワついてる、それに、この気配、魔王軍が攻めてきたのだろうか?
「ケケケ・・・今日からここは、魔王軍が支配する、お前たちに希望などない!」
「下がって、ここは、アタシが相手する!超火焔魔法!(グレイトフレイム)!」
アタシの魔法が魔王軍を包み、そして燃やした、手応えあり、そう思ったのもつかの間だった。
「なんだ、この炎、弱いなぁ。コレが未熟な魔法使いって奴か・・・炎ってのはなぁ、こういうものなんだよ!」
やられる、そう思った時だった。
「よー、苦戦してんじゃねぇかよ、ツクヨミちゃんよぉ。なっさけねぇな。」
「なんですか、あなた遊び人でしょ、だから引っ込んでて」
「なんだあ、遊び人、今魔法使いを始末しようってのにオマエまでしゃしゃんのか?」
「知ったこっちゃねぇよ、国が魔王に支配されようが。でも、オレの遊びを邪魔する奴は誰であろうとぶっ潰すだけだ!」
そういうと、クラウドさんは、猫騙しを魔王軍にかまし、一瞬のスキを突いた。その後、腹に正拳突きをかまし、気付けば魔王軍は気絶していたのであった。すると、町はクラウドさんを称えるのであった。
「めんどくせ、こういうのガラじゃねぇのによぉ」
「クラウドさん、アタシ、あなたのこと、誤解していました。遊び人で女好きで飲んだくれなのに、強くて、アタシの勝てなかった魔王軍を倒して下さって、本来はアタシが倒すべきなのに。すみません。」
「なんだぁ、オレはロリは好みじゃねぇんだ、もうちょっとなんというか色気が」
「な、やっぱりあなたはサイテーです、見直した時間返してください!」
こうして、アタシとクラウドさんは出会ってしまうのであった。
ただのニートな遊び人が魔王討伐するまで @ryoutam
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