【短編】ボーイッシュガール♡マーメイドソーダ

部活がない日は決まって親友とボーリング

お前はいつもガータ

俺はそれを見て大笑い

本当に運動神経悪いよな

その後は、カラオケに行ってハードなロックで歌いまくる

お前は決まってアニメソング

ほんとマニアック過ぎる歌ばかりだな

ファミレスに寄ってポテト食べながら

ゲームして夜道、肩を組んで帰るお前の横顔を見ながら、思う

あのね。俺は(私)、女の子なの。

お前(あなた)は全然そう見てくれてないけど。

もしも。

フリフリのスカートをはいたら振り向いてくれますか？

もっとよく近づいて。

俺(私)をジッと見て。ほら、男子（みんな）よりまつ毛長いでしょ？

試合がない休日は決まって親友と遊園地

ジェットコースターに乗って

お前は白目向いて泡吹いている

俺はその顔見ながら笑いを堪えている

その後は、お化け屋敷に行って怖がる

お前の手を引っ張りながら平気な顔して

内心ドキドキしている

スモークチキンにかぶりついて

ポップコーンを摘みながらナイトパレードを楽しんで

カチューシャ付けたまま別れる

家に帰ってベッドにダイブ

これって。完全にデートじゃない？

お前(あなた)は一切そう思ってないかもしれないけど。

もしも。

帰り際にキスしたら俺(私)の事見てくれますか？

ちょっと遅く歩いて

振り返ってみたりして

だけど、もう先に帰っちゃっていたっけ

おっす、どうした？　そんなに画面を見つめながらニンマリして。

まさか、まさか？　彼女ができたとか？

まぁ、お前みたいな根暗な奴が――って、え？へ、へぇー、本当にできたんだ。

ふーん、へー、ほぉー、ま、まぁ、その彼女の画像とかあったら見せてよ。

どんな奴か、親友である俺がみてやる。

……へぇ、凄い可愛いじゃん。

お前、こういう子がタイプなの？

やっぱり？

へぇー、あ、そうなんだ……ふーん。

……何？　嫉妬なんかするかよ。

恋人のポジションは奪われても、親友の座は譲る気はないから。

絶対。あー、なんか用事思い出したから、先に帰るわ。

どうぞ、その彼女とイチャイチャしてください。

じゃあな。

……はぁ。ついに、この時が来てしまった。あなたに彼女が出来てしまった。

こんなに身長が高くなければ。

こんなに声がかっこよくなければ。

女の子より、男子にモテていれば。

俺じゃなくて、私って呼んでいれば。

もっと早く可愛くしていれば。

もっと早く好きって言っていたら……あなたの彼女は俺(私)だったはずなのに……

でも、やっぱり、諦めきれない。

あなたの事がずっと前から好きだから。

だから……だからっ！

ウェディングドレスを着たらプロポーズしてくれますか？

ちょっと早すぎかな。

でも、いつかそうなりたい。

お前(あなた)の側に、ずっと居させて。

おっす、どうしたんだ？

いつにも増して不機嫌だな。

……え？　彼女と別れた？

なんで、なんで？！　え？　何？　浮気？

うわー、そうなんだ。

へー……何だよ、別に嬉しそうな顔はしてねぇよ。

まぁ、まぁ、そんなにガッカリすんなって。永久親友枠である俺がいるんだから安心しろ。

とりあえず、次の恋愛にむけて、あそこのカフェに行ってお茶しない？

何なら、俺が彼女役になってやろうか？

けっこう自信あるんだぜ。

好きな人とデートする女の子の役。