私は星の聖女と夜空を夢見る

ココむら

プロローグ

00. Awakening

 神秘の守護結界が消えゆき、長き眠りからの目覚めが訪れる。


 目前に広がるのは光に照らされた緑の柔らかな色彩。この地に降り立ったとき、世界は無辺際の荒野だったはずだが。


 これまで数え切れないほどの暗黒を行き来した。数え切れないほどの光に触れた。その度に一縷の希望が生まれ、残らず潰えた。

 かつて手にしていた力を思うと、この身に残されたものなどない。それほどまでに多大なる時間を失ったのだ。


 地平に恒星が浮かんでいる――正常な熱によって全ての生命に恵みを与える恒星が。循環する生命、永遠の光を放つ恒星。この世界の美しさは計り知れない。この星に偏在するもの全てを妬ましく思うほどに……しかし、それ故に。

 最後には我らの手中に収まってしまうことが残念でならない。

 

 魔力の翼を広げ、輝ける蒼穹に放つ。


 これは星界に響く1つの言伝である。何よりも星界を放浪する同胞たちへ、確かな標を。


 不条理な暗黒に侵されることのない安寧の地への道。立ちはだかる者全てを屈服させる覚悟も、あるいは道半ばに倒れる覚悟も出来ている。


 連なる空色の魔力が刃を生み出す。全ての物事はここから始まった。

 刃の向かう先はこの星の戦士たち。彼らはすぐさま兵装を整え、次に起こることへの備えを完成させた。彼らの力量がそれだけで窺い知れる。


 なるほど、物事はそう簡単には進まないらしい……

 

 静寂と緊迫が場を支配したとき。ある言葉が風と共に囁かれた。


 『――命令を。我らが君主よ』


 その言葉を乗せた風はいまに消えそうなほど微弱であった――が、同時に安堵をもたらしてくれる。


 星界を跨ぐ同盟はこのときより果たされる。我らの力は、結束は何物にも打ち破ることは出来ないだろう。

 

 輝ける星はすべて巡り、やがて我らの手に。


 力ある者よ。残された時間の許す限り我らの軍勢に挑むがいい。

 君達の意志、知恵、力。その全てを見せてもらおう。

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