第30話 意思の疎通が出来ないという災厄

 しばらくわちゃわちゃやってた……全体的に変な何かは、私が距離をとった事に気付いたらしい。こっちに寄って来ようとしたので、同じ距離だけ下がる。離れる時に周りを見たけど、扉も何もない大部屋のままだった。……帰還のオーブが使えれば、いいな、と、思ってる。

 3歩ぐらい下がった所で、寄って来るのを止めて、その場でまたわちゃわちゃやり始めた。相変わらず何を言ってるのか分からないな。英語とかでは無さそうだけど、なら、何語を喋ってるんだろう。

 まぁそもそも人間ではないだろうし……足音も、固いものと床がぶつかる、それこそゴーレムの足音みたいだったから……いくら見た目友好的でも、やっぱりこれは、モンスターなのかもしれない。ダンジョンで、モンスター以外の相手を見た事無いし。


みちみみのちもらみらとなきらに何かものすごいのいにのちにとちすいかいすな警戒されてるのにきちとなすな気がする

のにまちみちのなかい気じゃなくてのいにのちにとちすいかいすなみち警戒されてるな

しらなとなみみみらのらみらまらなのんらなどうすんのこの状況?」

しらなもらのらなもらねどうもこうも、みいきちにてらのににかい願いを聞いてのちみちいみちにから叶えないとしらなとにんらなもらみちにしちすらどうしようもないだろ


 ゴーレムだとするなら、首を飛ばしてもダメそうかな。人の形をしてても、コアを叩かないとダメージにならないし、強いやつだと無限に回復するから。とても厄介で相性の悪い相手だ。今目の前にいるのは、普通の大人ぐらいだから、行けなくはないだろうけど。

 でも、結局は材質によるかな。糸で斬れない材質だったら……仕方ない。本当にもう残りが少ないんだけど、全部使い切るつもりで魔法のカードを使うしかない。ボスモンスター(通称)の連戦とか聞いてないけど、ダンジョンだしなぁ……。


みちみみのちにすらにすら何か色々かいらのなすいみにみちすにのちみいみちに手遅れになりかねないのいくちに気配!」

きいさかなるげっ。からねと、からすにちいつなもらののちにとりあえずもっかいみいきちにてらのにのなつら願いを聞くぞ!」

「「とちりちねさぁ、みちみみしいもらぬかな何でも1つみいきちにてらしらなつら願いをどうぞ!」」


 なんて思ってたら、もう一度、ばっ! とこっちに手を広げるポーズをとるその何か。

 うん。だからさ。


「説明は、現代日本語、かつ、何度でも読み返せて、持ち帰れる、文章で行って下さい」


 分からないんだってば。

 ただまぁ、こっちの言葉が足りなかったか、それこそ伝わって無かったかもしれないと思ったから、言葉を足しておいた。支部長に言えって言われた理由で、大事な部分はそこだし。現代日本語、なのは、古文も日本語だから。古文は読めない。持って帰って、支部長に渡しても、きっと困る。

 そしたら、腕を広げるポーズはそのまま、その何かは、お面だけを見合わせる形で動かした。


きいみみしちにみにくらみみきらゲンダイニホンゴかかいみちみにって何?」

となのなみちのなからもら少なくともにもちくいみみのちみみとちすいかいすな今変換されてるのらすいまちみちにもにかちにしちみちこれじゃないみたいだな

もらとにのちとにかいのらすいかかいもしかしてこれってみにくらみみきらまちみちのちかかち日本語じゃなかった……?」

しらなもらとらなせせらにどうもそうっぽい……」


 どうやら何か困っているらしい。それだけは何となく分かった。空気で。賭けで大負けして家賃が払えなくなって追い出された、お隣さんが途方に暮れてる時の空気と一緒だったから。

 あの時は仕方なく、支部の部屋を借りて泊まればいいよ、って教えてあげたけど、今は、困ってるのは分かっても、何で困ってるか全然分からないからなぁ……。そもそも、出来る事があるのかどうかから分からないし……。

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