◇閑話◇ 「スコーン」にまつわる発音の話

「スコーン」の語源について調べていた際、「スコーン」にまつわるお話がいくつか出てまいりましたので、ここでまとめてご紹介しようと思います。

 いつものColumnとは違って文献などに当たったわけではないのですが、言葉の周辺にある文化的なところがが面白いなと思ったので、楽しんでいただけたら幸いです。


     ☆


〈発音について。「スコーン」か「スコン」か〉

 日本では「scone」を「skəʊn」という発音に近い、「スコーン」と言いますが、現地では「スコン(skɒn)」と発音している方が多いようです。

 調べてみたところでは、「スコン(skɒn)」のほうがイギリス全体の約3分の2の人たちがこの発音を使っているみたいで、スコットランド人に関してはほぼ100%が、「スコン(skɒn)」という発音を使っているとのことでした。


 そのため「スコーン(skəʊn)」のほうが少数派なのだそうです。

 といっても、全く使われていないわけではありませんよ。イングランドの南部やアメリカ英語では「スコーン(skəʊn)」を使っているとのことでした。


 それともう一つ、イギリス英語にはある特徴があり、その影響も受けています。


 言葉は地域差の発音の違いというのもあるものですが、イギリスというのはご存じの通り階級社会でございまして、そこにも発音の違いもあるんですね。この話をすると長くなるので、とりあえず「そういうことがあるのね」くらいに思っていただければいいんですけども、この「scone」も地域的な言い方の違いと、階級の違いによる言い方の違いが存在します。


「スコン(skɒn)」と「スコーン(skəʊn)」のどちらが上流階級に使われているかというと、前者のほうです。

 一方の「スコーン(skəʊn)」のほうが庶民的とのこと。中流、上流階級の人たちが「スコーン(skəʊn)」と発音するのはないこともないようですが少数派なのだとか。


 誤解のないように申し上げますが、ここでの話は「こういうこともあるみたいです」というやんわりとしたものなので、今までの「スコーン」という言い方を否定しているわけではございません。ですから、「明日からイギリスの上流階級の人たちみたいな発音でいきたいから『スコン』と言うわ!」と意気込まなくても大丈夫です(笑)

 もちろん、「スコン」と言いたい場合は止めませんが、日本では「スコーン」でのほうが通じやすいでしょうから、その辺りは相手に通じることも踏まえて使っていただくとよいのかなと思います(——という、私見です)。


 以上、「スコーン」を調べた際の小話でした。

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