二月　🐦

二月や鳥が夜明けを連れて来る

なんとなく楽しきあした春動く

山笑ふビルに親子の風見馬

両隣だけのやしろや迎春花

軽トラのラジオの謡ふ春の朝

浮き草に水を湧かせて春の川

辛夷咲く昼間は人のゐない町

蟻出づや内緒話はよしとくれ

山へ行く男女のはなし冴返る

年寄りの犬と人とで青き踏む

跨線橋のぼつて下りて春の風

春野ゆく宅配マークちぎれ雲

春昼や仕事帰りの清掃車

新旧の橋の並びて冴返る

原発のちかくの秘仏陽炎へる

小鳥来る今生の縁うすき身に

小説に物語られて春ともし

春星やミニFMのこゑ小さし

船星や船出のときはいつだつて

春宵や鸚鵡がへしのあうむの目