配信中の囁き
天蝶
第0話
ある晩、人気のゲーム配信者であるタケシは、夜遅くに特別な配信をすることに決めた。視聴者たちはタケシのユーモアとスリルを楽しみにしており、彼の配信はすぐに盛り上がった。
配信中、視聴者からコメントがたくさん届く。その中に「後ろに気をつけて」というものがあった。最初は面白い悪ふざけだと思ったタケシだったが、視聴者からの「本当に気をつけて」という警告の声が続くと、少し不安になった。振り返っても誰もいない。
「冗談だろ、みんな! なんか怖いこと言うなよ!」と笑って流そうとした瞬間、画面が一瞬暗くなった。ライトがフリッカーし、視聴者たちは「何か起こった!」とざわつく。再び明るくなると、彼の後ろに一瞬、ぼんやりとした影が映っていた。
タケシは視聴者の反応を見て驚き、「え、今何かいた?」と確認すると、コメント欄は「その影、動いてる!」と騒ぎ立てる。怖くなりつつも独り言のように「まさかね」と呟くが、心の中で何かがおかしいと感じた。
その後、配信が進むに連れ、影は何度も映り込むようになり、タケシは心を乱されていく。そして、最後のゲーム実況が始まった瞬間、彼の耳元に低い囁き声が聞こえた。「お手伝いしてあげるよ。」
その声に驚いたタケシは、カメラに向かって叫び声を上げた。「お前、誰!? 何がしたい!?」
その瞬間、画面が一瞬消え、再び明るくなると、視聴者のコメントが一斉に「今、後ろにいるよ!」と流れた。タケシは恐怖に駆られ、恐る恐る振り返るが、そこには誰もいなかった。
しかし、配信が終わった後、彼は視聴者たちから届いたダイレクトメッセージに気づく。それは、彼の配信を見ていたという「影」の正体からだった。「また会おうね。」
その後、タケシは配信を続けるものの、あの囁き声が頭から離れず、視聴者たちが彼に向けて「後ろに気をつけて」と伝え続けるのを見て、彼の心に恐怖が深く根付いた。
彼の配信は一度も同じパフォーマンスをすることはなく、次第にフォロワーは減っていった。視聴者たちは彼の変化を気にすることなく、ただ一つのコメントを送り続ける。「後ろに気をつけて。」
配信中の囁き 天蝶 @tenchoo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます