第24話

私は彼等と馴れ合うつもりは無い。


怜央ちゃんは私の為に引き合わせてくれたんだろう。


申し訳ないけど、私の意志は固いんだよ。


私がきっぱりと断ってから訪れた本日何度目かの沈黙に心の中で溜息をついた。


早く怜央ちゃん帰って来ないかなぁ。言いたい事たくさんあるのに。


そもそも本当に用事なんかあったんだろうか。


そこまで考えてふいにカウンター席を見れば、置かれた財布と煙草の箱。



――絶対嘘。わざと彼等と私だけの状態にさせたな!



きっと彼はこの近くにいるんだろう。後で覚えてろ、怜央ちゃん。


ふつふつと沸き上がる怒りを抑えて、視線を戻してびっくりした。思わず肩が跳ねたのは仕方ないと思う。



「……えっと、何か?」



――彼等の視線が私に向いていた。


それはもう、凝視。


いつから?もしかして最初から?平然を装って聞いてみたけど、彼等はピクリとも動かない。


瞬きもせず見てくるから、目が乾燥しないのかな。と少し心配した。

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