始まりはいつだって唐突にやってくる

第1話

暗闇の中を無数のヒカリがその場を照らす。キラキラ輝いていて、そこはわたしからすれば別世界の様だった。


夏と冬に行われる“それ”は、この街の者なら知らぬ人はいないだろう。


繁華街から大通りを抜けて川沿いを駆け抜ける彼等を見ようと大勢の人達が群がる。


現在、20時を回ったところ。


私、早川 心寧はやかわ ここねはある場所へと向かっていた。


繁華街を少し抜けた所に古びた神社がある。


長い階段を上って鳥居を潜ると、ぽつんとベンチが置いてある。そこへと座れば目の前は繁華街を一望出来るようになっている。



「ふぅ、ここがいちばん良く見える。誰も知らないのかなぁ」



シーンとした此処で、キラキラと輝く繁華街を眺めて携帯で時間を見る。



「20時28分。あと2分」



心地よい風を受けながらゆっくりと目を閉じた。


耳に全神経を集中してその時を待つ。






――そして、20時30分。


繁華街の方から聞こえるバイクの音に目を開いた。遠くではあるけど、見える。

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