力強く天を睨む、翼を持たない少女の決意

 この文字数で、こんなにストレートに心を打ってきてくれるの、本当にすごいと思いました。

 日常の中にある「理不尽」。自分自身が汚い言葉で責められた時、それを「許容しなさい」と軽く言われること。その一方で、自分がやり返した時に「そんなことはやるな」となぜか諌められる。

 こういうことって、経験ある人多いんじゃないでしょうか?

 自分がやられて嫌だと訴えているのに、それを気にするのはおかしいと言われる。「じゃあ、やり返してやる」って思ったら、酷い人間だみたいに返される。

 この感覚を最初に提示され、強い共感を覚えて一気に引き込まれました。
 
 理不尽、圧迫、諦観の強要。そんな現実に苛まれる少女。
 でも、弱いままでは終わらない。弱さを強要する現実に対し、少女はそれを乗り越える強い心を持とうとする。

 ラストのワンシーンは神々しく、とても鮮明に脳裏に浮かびました。
 400字ちょっとの掌編ですが、強く心に残る一作でした。

その他のおすすめレビュー

黒澤 主計さんの他のおすすめレビュー2,022