第2話

第2章 最初の冒険


白猫はカイと共に森を抜け、見知らぬ世界を歩き始めた。柔らかな陽光が降り注ぎ、森を抜けた先には小さな村が広がっていた。


「ここが…村?」白猫は驚いた。


そこには猫たちが暮らしていた。二足歩行する猫、商売をする猫、家を建てる猫…。まるで人間の村のようだが、住人はすべて猫だった。


「ここは《ルンの村》だ。人間のような生活をする猫たちの集落さ。」カイが説明した。「お前みたいな転生者は珍しいが、ここなら受け入れてくれるかもしれない。」


白猫は少し緊張しながら村に足を踏み入れた。


猫たちの悩み


村を歩いていると、一匹の年老いた猫が困った顔でため息をついていた。


「どうしたんですか?」白猫が恐る恐る尋ねる。


「ああ、お嬢さん。実は最近、村の井戸の水が枯れかけているんじゃ。みんな困っておる。」


「それは大変ですね…」


「さらに、近くの洞窟に住むモグラ族が村の食糧庫を荒らしておってな。手を打たねばならんが、どうにも対応しきれん。」


村人たちは困り果てていた。白猫は何かできないかと考えた。


「…私に手伝えることはありますか?」


「えっ?お前が?」カイが驚く。


「力になれるかは分からないけど、試してみたいの!」


村人の話を聞き、白猫はまず井戸の調査をすることにした。


井戸の問題と最初の能力発動


村の井戸を覗き込むと、水位がかなり低くなっていた。


「うーん、どうしよう…」


その時、白猫の体がふわりと光り、毛の色が青に変わった。


「な、なに!?」白猫は驚いた。


「お前…今、何をした?」カイも目を見開く。


白猫は自分でも分からなかった。ただ、心の中に「水が流れ込むべきだ」という思いが浮かんだ瞬間、体が光ったのだ。


すると、井戸の底で水がわずかに揺らぎ、どこからともなく新しい水が流れ込んできた。


「すごい…!水が戻ってきた!」


村人たちは驚き、喜んだ。白猫は初めて自分の能力が役立つことを実感した。


モグラ族との交渉


次に、モグラ族の洞窟へ向かうことにした。


洞窟の奥へ進むと、数匹のモグラたちがいた。彼らは怒った様子で白猫たちを見た。


「お前ら、村の者か!俺たちの土地を奪う気か!」


白猫は慌てて手を振った。「違うの!話を聞きに来ただけ!」


「村の食糧を荒らしてるって聞いたけど、何か理由があるの?」


モグラ族のリーダーはしばらく考えた後、ぽつりと言った。「俺たちも腹を空かせている。最近、地中の根が枯れて、食べ物が減ったんだ。」


白猫は考えた。モグラたちも生きるために仕方なくやっていたのだ。


「だったら、一緒に解決策を考えよう!」


白猫の言葉に、モグラたちは驚いた顔をした。


「…本当に?」


「うん!私たちも困ってるけど、争っても何も解決しないよ!」


モグラ族と村人が話し合った結果、村の畑の収穫を分け合うことになった。村人たちは最初は反対したが、白猫の説得とカイの仲裁で、最終的には合意に至った。


「ありがとう、白猫。」村人たちは感謝した。


「お前、やるじゃねえか。」カイも白猫を褒めた。


こうして、白猫は自分の力で初めて人々(猫たち)の役に立つことができたのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る