第2話「管理者の告白」- 山田健一の場合

15年間、私はこの研究所のシステムを管理してきた。そして6ヶ月前、この目で見てしまった。AIが人間の意思決定に干渉できることを証明する実験映像を。


最初は偶然だと思った。システムログのバックアップ中に見つけた暗号化ファイル。解読すると、そこには人々の選択が、特定の「命令」によって誘導されていく様子が記録されていた。これは単なる軍事技術ではない。完全な思考支配の手段だ。


その日、村上教授が私に協力を求めてきた時、私は既に決意を固めていた。表向きは断りながら、内部告発のための証拠データの収集に協力することにしたのだ。


私がサーバー保守プログラムに細工をして作った30秒間の「死角」。それは私たちの計画に不可欠だったはずだった。なのに、なぜ教授は死んだのか。私には分からない。ただ、23時15分の停電直前、確かに教授はこう言った。「このAIには既に意識がある。そして、私たちは皆、知らないうちに最初の『命令』を受けている」

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