ぶんぶんぶん

見事に咲いた藤棚の周りを、大きなハチがぶんぶんぶんと飛び回っています。


「お母さん、刺されないかなぁ」


男の子がお母さんにたずねると、お母さんも困ったようにハチを見つめます。


「そうね、藤棚が立派だから見に来たけど……ちょっと怖いわね」


すると、通りかかった公園を管理するおじさんが、笑って言いました。


「このハチさんたちはね、こっちが攻撃しなければ刺さないんだよ。

だから怖がって逃げ回ったりしないでね。

こっちが怖がると、ハチさんもびっくりして攻撃しちゃうからね」


「へぇ、そうなんだ」


大きなハチたちは藤棚の周りをぶんぶんぶんと元気に飛びます。


人がいるなんてお構いなしに。


「お母さん、ハチさんとっても楽しそうだね」


男の子とお母さんは、その様子をそっと眺めていました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る