死んだらお菓子の世界に転生しました
こんにちマンモス
第1話 幸せな生活
「たっだいまー!」「おかえりなさい」
***
みなさんこんにちは。そして初めまして。私は小学6年生の女の子、ゆめ!!
もうすぐ中学生になるの。
また一歩大人になるんだー。
優しいママとパパがいて毎日とっても幸せなんだ!
あー、そろそろ夜ご飯の時間みたい。
ママがキッチンから私を呼んでるわ。
「ご飯♪ご飯♪しあわせーなご飯♪」
***
「さぁーご飯も食べたし、お風呂にも入ったからベットにダーイブッ!」
ふぁ、と小さく可愛らしいあくびをしながらゆめちゃんはベットの中に入りました。
「明日も朝から学校だ!!おやすみ、メルちゃん♡」
ゆめちゃんは小さい頃から大事に持っている羊のぬいぐるみのメルちゃんにおやすみのキスをし、今日もぐっすり夢の中へ入りました。
今日のゆめちゃんはベットの中でこんな夢を見ています。
***
「おっきな家ー!」
なんとゆめちゃんの目の前にはお城のような大きな家がありました。
ゆめちゃんは笑顔いっぱいになって大きな家に向かって駆け出しました。
タッタッタッと走って家の前に近づいて家をよく見てみると、なんと!
壁がクッキーではありませんか!
「うわぁー!!これクッキーだ!うわっ!こっちの壁はチョコクッキー?!こっちはいちごっぽく赤色だしこれはオレンジ色だからオレンジ味かなー?」
ぴょんぴょん飛び跳ねながら壁やドア、窓と家をじっくり観察していました。
すると、後ろから少ししゃがれた声で
「やぁやぁ、おチビさん。わしの家に何か用かね?」
と声をかけられました。
ゆめちゃんはびっくりしましたが、優しい声色だったので勇気を振り絞って後ろを振り返ってみました。
やっぱり!
ニコニコな笑顔をしたおじいさんがそこに立っていました。
「こんにちは。おじいさん。私はゆめ。偶然このおっきなお菓子の家が目の前に現れたから思わず近づいちゃったの。私、お菓子だーいすきだから。あっでも、盗もうとか、勝手に食べちゃおうとかはしてないよ。家に近づいたの気分悪くしちゃったのならごめんなさい。」
ゆめちゃんはとても愛らしい声で素直にそう言いました。
すると、おじいさんは、
「いやいや、気を悪くしたわけじゃないよ。少し驚いてしまったから聞いたんだ。謝って欲しかったわけじゃないよ。君は良い子だね。」
と優しく言葉を返してくれました。
すると、ゆめちゃんが、
「なんでびっくりしたの?」
とおじいさんに聞き返しました。
だって、こんな可愛くて美味しそうなお菓子の家なんて童話みたいな、子供の憧れみたいなものだし、こんなお家があったらみんな近づいて見に行くと思うの。
見に行くでしょ?
毎日、なんなら毎分毎秒子供たちが家に近づいてきそうなのに、なんで私1人なんかを見てびっくりしたんだろう。
そんな疑問がふっと浮かび、ゆめちゃんはそうおじいさんに質問したのです。
「こんな素敵で魅力的なお家を見つけたらみんな遊びに来るでしょう?」と。
すると、おじいさんはこう答えました。
「まぁー、ここは確かに人は来るよ。頻繁にではないが君みたいな小さな子供がね。ただ。。」
急に声色を暗くしておじいさんはここで一度一呼吸おき、再びこう話し続けました。
「ただ、君みたいに笑顔でぴょんぴょん幸せそうにこの家に近づく子供はいないんだよ。それで驚いてしまったんだ。」と。
一体どういうことなのでしょう。
お菓子の家に近づく子供たちが笑顔ではない?
「じゃー、一体どんな表情をして子供たちはこのお菓子の家に近づいてくるの?」
そうゆめちゃんは聞きました。
「とぼとぼゆっくりと歩いてきてたくさんの涙を顔中、体中に流しながら近づいてくるんだよ。」と。
ガバッ。
ゆめちゃんはそこで夢から覚めました。
なぜか顔中と体中を涙でいっぱいにして。
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