第8話 三島瀬奈のターン


俺達は報酬の○ンロ飴を食べながら教室に入る。

すると「おーす」とか。

「おう。生きていたんだな。良かったぜ」とか声がする。

俺は苦笑しながら、つくづく良いクラスメイトだな、と思いながら返事をする。


「おはよう」

「...あ、ああ。三島」

「今日は遅かったね?みんな。どうしたの?」

「先生に声をかけられてな。掃除していた」

「あ。そうなんだね。一文字くん」

「遅刻すれっすれになったのはそれが原因だな」

「だな」


そして俺は机に鞄を置きながら溜息を吐く。

すると三島が近付いて来る。

俺は「?」を浮かべながら三島に向く。


「どうした。お前」

「今日、暇あるかな」

「...?...ああ...いや。暇だけど?」

「じゃ、じゃあ参考書買うの、探すのを手伝ってほしい」

「...何で?」

「な、何でも良いじゃない?」

「いやまあ良いけど」


三島は「うん」と言ってから笑みを浮かべて俺から離れる。

参考書ぐらい自分で探してほしい。

そう思いながら俺は三島を見送っているとクラスメイトがニヤッとしていた。

何だコイツら?

また良からぬ事を考えているんじゃないだろうな。



放課後になった。

俺は約束通り花園と一文字と別れて三島の元に行く。

三島は校門の辺りに立っていた。

そんな三島に「よ」と声をかける。


「あ、き、来てくれたんだね」

「は?お前が約束したんだろ」

「そ、そうだけど。ほ、本当に来るとは思わなかったから」

「?」


俺はよく分からないまま三島と一緒に書店まで行く。

すると三島は途中で立ち止まる。

それから「ねえ」と声をかけてくる。

俺は「?」と思いながら三島を見てみる。


「今日はありがと。君も忙しいのにね」

「忙しくは無いな。...自殺行為をする余裕はあるしな」

「...そっか」

「...ああ。...そういうこった」


三島は「...」となってから俺を見てくる。

そしてまた俺に寄り添って来た。

だからそれは止めろと。

そう思いながら三島を見る。


「何やってんだオメーさんよ」

「見て分かる通り接近していますね」

「いや。それは見れば分かるけど。っていうか聞きたいのはそこじゃない」

「んー?じゃあ何?」

「何でお前は寄り添うんだ。俺に」

「それは...えへへ。内緒」


内緒って何だ。

考えながら意味不明のまま三島と一緒に書店に来る。

それから書店のドアを潜ってから中に入る。

参考書コーナーにやって来た。


「参考書って言っても結構あるから」

「だろうな。何だか力入っているしな」

「そーそー。レベル上げたいんだけどね」

「...三島は三島らしく居たら良いんじゃないか」


そう言いながら俺も棚に置かれている参考書に手を伸ばす。

それから参考書を手に取りながら三島を見る。

三島は「...君、本当に優しいよね」と言いながら耳を赤くしている。

何だよ一体。


「何だお前。熱でも有るのか」

「な、無いよ」

「?」

「と、とにかく参考書!」


三島は棚に有る参考書に手を伸ばす。

だが三島は身長もありそれが取れない。

俺は手を伸ばして三島の取りたかった参考書を手に取り。

三島に渡した。


「ありがとう」

「...ああ。気にすんな」

「...君ならどんな参考書買う?」

「俺は漫画の混じったものを買う。...まあ分かりやすく言うと絵が多い参考書だな。俺自身が文字が多いの嫌いだから」

「そうなんだね」

「ああ。いっぺん試したら?良いぞ。文字ばかりの参考書など嫌になるしな」

「うん。ありがと」


そして三島は参考書を見る。

俺も視線を戻してから参考書を選んでいると。

「一緒の参考書買おう」と三島が言ってきた。

は?な、何で?


「三島?」

「...一緒の参考書が欲しい」

「何で?俺と勉強法違うだろ」

「良いから。ね?」

「...???」


良く分からないが...。

そう思いながら俺は絵の入っている参考書を手に持つ。

そして三島と一緒にレジに向かう。

それから参考書を購入した。


「良い参考書が手に入った」

「そうだね」

「じゃあこれで別れるか」

「え...」


何だその、え、ってのは。

俺は「?」を浮かべて三島を見る。

三島は「まだ付き合って」と話してくる。

何故に?


「み、三島?」

「私は...まだ一緒が良い」

「な、何だそれは。...言い方に気を付け...」

「これは間違いなく本心だよ」


ほ、本心?

俺は赤面しながら三島を見る。

三島は頬を朱に染めながら俺に向いてくる。

その姿に俺は「...」となってから袖を少しだけ握ってくる三島に反応した。


「分かったよもう」

「あ、有難う」

「...何で俺なんだ。楽しくないだろ」

「私は楽しい」


言いながら三島は俺に向いてくる。

真剣な眼差しだった。

俺は「...そ、そうか」となりながら目を逸らす。

そして三島は笑みを浮かべる。


「じゃあ...カフェに行かない?」

「カフェに行ってどうするんだ」

「カフェで勉強。...これずっとやってみたかったの」

「カフェで勉強か...成程ね」

「そう。いつか大切な人と一緒にやってみたかったの」

「...いや待て。大切な人、とは?」

「あ」


三島は真っ赤になって目を回す。

それから「と、とにかく。行こう」と俺の腕を引っ張る。

今の言葉の真意が知りたいんだが。

どうなっている。

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