第7話 幸せを勝ち取る為に


私の名前は花園美幸という。

クラスメイトにも家族にも色々な人からも「美少女」と言われるが。

正直私はそういうのは興味が無い。

美少女だから得するという事は私にとってはほとんどないから、だ。

だから私は美少女と言われても嬉しくない。


そんな私に対してただ1人のみ。

私に対して「内面が好き」と言ってくれた人が居た。

その人は佐沼隼人くん。

私を痴漢から救ってくれた人で...私のヒーローである。


「じゃあ。また明日ね」


ゲームキュー○と呼ばれるゲーム機で1時間遊んだ。

そして私はそろそろ帰ろうと思い玄関先に向かう。

そんな私を佐沼くんが見てきた。


「今日はありがとうな」

「私?...私は...何もしてないよ?」

「いや。今日来てくれた事で...落ち着きを取り戻した。俺が」

「それは私もだよ。佐沼くん。貴方のお陰で...私は...」

「...お前がそういう事をするとは思えないから」


私に対してそう言いながら佐沼くんは笑みを浮かべる。

それから「...これ。お土産」とお菓子の缶を持ってくる。

私は「お構いなくだよ?」と言いながら佐沼くんを見る。


「ああ。だけど...お前に前から渡そうって思っていたしな」

「...そっか。...ありがとう。佐沼くん」

「...気を付けて」

「うん。ありがとう。佐沼くん。じゃあね」


そして私は表に出た。

それから鼻歌交じりに歩き出す。

今日はなんて素晴らしい日なのだろうか。

そう思いながら近所の実家に帰宅する。


「お姉ちゃん?」

「ん?何?雪道」


実家に帰ると中学3年生の女子。

妹の雪道(ゆきみち)が私を見てきた。

ポニテの髪形。

そして八重歯が特徴的な可愛い女の子だ。


目を丸くしている。

何か私が嬉しそうなのに驚きを見せている。


「何かあったの?」

「あ、うん。実は...」


私は全て話す。

すると「そっか。この前会った男の人に」と柔和になる雪道。

それからニヤッとした。

私はその姿にドキッとする。


「で?お姉ちゃんは好きなの?」

「え?...な、何の事?」

「何の事ってその男の人だよ。好きなの?」

「ま、まさか。...そんな事は...無いよ」

「怪しいなぁ。...だってお姉ちゃんの顔が綻んでいるし」

「そ、そんな事ないもん」


私は...彼の事は確かに大切だけど。

そう思っている感じではない。

すると雪道は私から荷物を受け取ってから柔和な感じになる。

それから棒の飴を取り出して食べ、私にも渡してくる。


「まあどっちでも良いけど...お姉ちゃん。早めに対応しないときっと取られるよ。その人。だってお姉ちゃんが陥落したぐらいだから」

「ま、待って。陥落はしてない」

「いやぁ。どうかなぁ?」

「もー。揶揄わないの」


大切だ。

だけど私はこの感情は違うと思っている。

だからこそ。

思いながら私は玄関から上がる。

それからリビングに向かった。



俺は翌日になってから学校に登校しようと思い表に出る。

そして衝撃を受けた。

一体何故かというと...目の前に花園が居た。

柔和な笑顔で俺を見る。


「やっほー」

「いや。ヤッホーじゃないぞ。...何をしているんだ」

「見て分かる通り、お迎えです」

「お迎えって...」

「一緒に登校しよう」

「それマジに恋人じゃないか」


慌てながら居ると花園は「そうだね。...学校の前で別れよう」と言いながら俺の手を握ってくる。

まさかの行為に動揺しながら俺は「お、おい」と言うが。

だが花園は鼻歌を交えて歩き出す。


「花園。どうしたんだ?何か昨日と違う感じがする」

「私は...昨日も今日も同じだけど」

「そうか?」

「うん。同じ同じ。...逆に何でそう思うの?」

「いやなんだろうな。...雰囲気が違う」


言いながら俺は顎に手を添えて花園を見る。

花園は「うーん。そうかなぁ?」となって苦笑いを浮かべた。

そんな感じで話しながら歩く。

そして信号待ちをしていると「よお」と声がした。


「一文字...」

「朝からバカップルだな。...見せつけてくれるね」

「いや。カップルじゃ無いから」

「いやいや。傍から見たらそうとしか見えない」

「まあ確かにな...」


一文字と俺と花園は歩きながら登校する。

というか一文字が合流した事によって調和された気がする。

良かった。

俺は感謝しながら一文字と一緒に歩く。

それから校門前に来るとそこで大和先生が木の葉を掃除していた。


「よお。お前ら」

「え?珍しいっすね。そんな事をするの」

「何だ一文字。俺が駄目教師って言いたいのかお前」

「いや。そういうつもりは無いっすけど」


そう言いながら一文字は箒で指差す様な大和先生を見る。

そんな大和先生を見ていると箒と塵取り。そしてゴミ袋を渡してくる。

「手伝ってくれるか?お前ら」と言いながら、だ。


「報酬はカン○飴だ」

「アハハ。変わらずっすね」

「バーカお前な。カ〇ロ飴は非常食に良いんだぞ?健康にもな」


健康に良いかどうかは別にしても...社会に貢献は良いかもな。

そう思いながら俺達は顔を見合わせてから鞄を降ろす。

それから掃除用具を持ってから手伝い始めた。

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