第7話 幸せを勝ち取る為に
☆
私の名前は花園美幸という。
クラスメイトにも家族にも色々な人からも「美少女」と言われるが。
正直私はそういうのは興味が無い。
美少女だから得するという事は私にとってはほとんどないから、だ。
だから私は美少女と言われても嬉しくない。
そんな私に対してただ1人のみ。
私に対して「内面が好き」と言ってくれた人が居た。
その人は佐沼隼人くん。
私を痴漢から救ってくれた人で...私のヒーローである。
「じゃあ。また明日ね」
ゲームキュー○と呼ばれるゲーム機で1時間遊んだ。
そして私はそろそろ帰ろうと思い玄関先に向かう。
そんな私を佐沼くんが見てきた。
「今日はありがとうな」
「私?...私は...何もしてないよ?」
「いや。今日来てくれた事で...落ち着きを取り戻した。俺が」
「それは私もだよ。佐沼くん。貴方のお陰で...私は...」
「...お前がそういう事をするとは思えないから」
私に対してそう言いながら佐沼くんは笑みを浮かべる。
それから「...これ。お土産」とお菓子の缶を持ってくる。
私は「お構いなくだよ?」と言いながら佐沼くんを見る。
「ああ。だけど...お前に前から渡そうって思っていたしな」
「...そっか。...ありがとう。佐沼くん」
「...気を付けて」
「うん。ありがとう。佐沼くん。じゃあね」
そして私は表に出た。
それから鼻歌交じりに歩き出す。
今日はなんて素晴らしい日なのだろうか。
そう思いながら近所の実家に帰宅する。
「お姉ちゃん?」
「ん?何?雪道」
実家に帰ると中学3年生の女子。
妹の雪道(ゆきみち)が私を見てきた。
ポニテの髪形。
そして八重歯が特徴的な可愛い女の子だ。
目を丸くしている。
何か私が嬉しそうなのに驚きを見せている。
「何かあったの?」
「あ、うん。実は...」
私は全て話す。
すると「そっか。この前会った男の人に」と柔和になる雪道。
それからニヤッとした。
私はその姿にドキッとする。
「で?お姉ちゃんは好きなの?」
「え?...な、何の事?」
「何の事ってその男の人だよ。好きなの?」
「ま、まさか。...そんな事は...無いよ」
「怪しいなぁ。...だってお姉ちゃんの顔が綻んでいるし」
「そ、そんな事ないもん」
私は...彼の事は確かに大切だけど。
そう思っている感じではない。
すると雪道は私から荷物を受け取ってから柔和な感じになる。
それから棒の飴を取り出して食べ、私にも渡してくる。
「まあどっちでも良いけど...お姉ちゃん。早めに対応しないときっと取られるよ。その人。だってお姉ちゃんが陥落したぐらいだから」
「ま、待って。陥落はしてない」
「いやぁ。どうかなぁ?」
「もー。揶揄わないの」
大切だ。
だけど私はこの感情は違うと思っている。
だからこそ。
思いながら私は玄関から上がる。
それからリビングに向かった。
☆
俺は翌日になってから学校に登校しようと思い表に出る。
そして衝撃を受けた。
一体何故かというと...目の前に花園が居た。
柔和な笑顔で俺を見る。
「やっほー」
「いや。ヤッホーじゃないぞ。...何をしているんだ」
「見て分かる通り、お迎えです」
「お迎えって...」
「一緒に登校しよう」
「それマジに恋人じゃないか」
慌てながら居ると花園は「そうだね。...学校の前で別れよう」と言いながら俺の手を握ってくる。
まさかの行為に動揺しながら俺は「お、おい」と言うが。
だが花園は鼻歌を交えて歩き出す。
「花園。どうしたんだ?何か昨日と違う感じがする」
「私は...昨日も今日も同じだけど」
「そうか?」
「うん。同じ同じ。...逆に何でそう思うの?」
「いやなんだろうな。...雰囲気が違う」
言いながら俺は顎に手を添えて花園を見る。
花園は「うーん。そうかなぁ?」となって苦笑いを浮かべた。
そんな感じで話しながら歩く。
そして信号待ちをしていると「よお」と声がした。
「一文字...」
「朝からバカップルだな。...見せつけてくれるね」
「いや。カップルじゃ無いから」
「いやいや。傍から見たらそうとしか見えない」
「まあ確かにな...」
一文字と俺と花園は歩きながら登校する。
というか一文字が合流した事によって調和された気がする。
良かった。
俺は感謝しながら一文字と一緒に歩く。
それから校門前に来るとそこで大和先生が木の葉を掃除していた。
「よお。お前ら」
「え?珍しいっすね。そんな事をするの」
「何だ一文字。俺が駄目教師って言いたいのかお前」
「いや。そういうつもりは無いっすけど」
そう言いながら一文字は箒で指差す様な大和先生を見る。
そんな大和先生を見ていると箒と塵取り。そしてゴミ袋を渡してくる。
「手伝ってくれるか?お前ら」と言いながら、だ。
「報酬はカン○飴だ」
「アハハ。変わらずっすね」
「バーカお前な。カ〇ロ飴は非常食に良いんだぞ?健康にもな」
健康に良いかどうかは別にしても...社会に貢献は良いかもな。
そう思いながら俺達は顔を見合わせてから鞄を降ろす。
それから掃除用具を持ってから手伝い始めた。
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