第5話 怒号

よく分からないまま三島と別れてから俺は帰宅する。

それから俺は家に帰り着いた。

すると幼馴染からメッセージが入った。

幼馴染の萩原優愛(はぎわらゆあ)...つまり。

浮気した屑。


(しばらく連絡とって無かったけど...大丈夫?)


このクソ馬鹿、能天気な野郎だな。

こちら側から連絡を控えていたらマジに今頃って感じだわ。

そう思いながら俺は不愉快な気持ちのまま(まあ死んでないしな)と返事を書く。

萩原優愛は(そっか。...ゴメンね。忙しかった。...でも会いたいから来た)と書いてくる。

俺は「!」となって周りを見渡す。

そこに...萩原優愛が居た。


「来ちゃった」

「...」

「どうしたの?」

「来ちゃった、じゃない。...俺はお前に会いたくはない」

「...え?...な、何でそんな事言うの」

「優愛。...俺はお前と別れる」

「...え...」

「お前...墨原斗真(すみはらとうま)と浮気したな」

「...!...何でそれを...」

「お前らが浮気したのが確定したのが?...そうだな。お前...ラブホにも行ったな。...俺は全て知っている」


優愛は凍り付く。

そして俺はその凍り付いた顔に「...お前とは絶縁する」と告げる。

すると優愛は「...そっか」と言った。

何がそっかなのか。

コイツ。

すると萩原は「じゃあこれでサヨナラだね」と柔和になる。


「...お前な...」

「...私達がどうして浮気したか知ってる?」

「...分かるか。お前な。ふざけるな」

「貴方が優柔不断な感じで情けないから」

「...」


無言で俺は威嚇する様に萩原を見る。

何て事を言うんだコイツは。

そう思いながら俺は萩原を見る。

萩原は薄ら笑いを浮かべてから「じゃあ」と去って行く。

コイツ...。


「...マジかクソ」


そう呟きながら俺は踵を返す。

すると女性の怒号が聞こえてきた。

曲がり角の辺りだ。

何だ!?、と思い俺は駆けだした。


「...お前!?」


そこに居たのは萩原と...花園だった。

花園は「...見ていたけど貴方最低だね。...萩原」と威圧する花園。

萩原は「いや。貴方誰?」と眉を顰めている。

オイオイ待て待て!?


「ここ住宅街だからそんな怒号上げるな」

「良いのこれで?佐沼くん。このクソ野郎を逃がして」

「いや。確かにそうかもだけど今は...」

「...」


花園は萩原を威嚇する。

そして萩原はそれを避ける様に「...貴方ってもしかして...彼の何かなの?」と聞いてから苦笑する。

花園は「違うけど」と拳を握る。

それから萩原を見た。


「...じゃあ私に何の用事なの?」

「私は貴方の事を知っているから。彼の事も知っているから。貴方に最後に言っておく。貴方はかなり最低な女だと思う」

「...」


俺は「...」となりながら見ていると萩原はフッと肩をすくめた。

それから「彼は止めた方が良いよ。私は...優柔不断な男の子は嫌い」と話した。

ぐさぐさ刺さる言葉をいちいち言うね。

そう思いながらも俺は「花園。コイツ開き直るから」と言いながら花園の肩を握ってから首を振る。


「このクソ野郎嫌い」

「私も貴方は嫌いかな」


それからバチバチと火花を散らす2人。

そして萩原は横をすり抜けて去って行こうとする。

花園は怒号をまた上げた。

「貴方ね!話はまだ終わってない!!!!!」という感じで、だ。

すると萩原は「だから何?」と踵を返す。


「...貴方...彼が死にかけたの知ってる?自殺未遂だった」

「...で?」

「で?って...」

「それはその人が弱いだけでしょう」

「...」


まさかの言葉だった。

流石の花園もこれには切れたのか。

萩原をビンタしてから「いい加減にしろ」と冷酷な目をする。

そして汚物を見る様な目をした。


「痛みが分かるか。この痛みが。...貴方のせいで彼は苦しんでいる」

「...唇が切れたじゃない」

「アンタのせいだけどね。...絶対に許さない」

「許さない?で、どうするの?」

「今決めたけど。地獄に堕とす」

「そう。...せいぜい頑張って」


そして萩原はそのまま薄ら笑いをまた浮かべて血を吐き捨ててから去って行く。

その事に涙を浮かべる花園。

俺はその姿に「...心優しいな。お前」と呟く。

すると花園は「許せないだけ」と言った。


「...貴方の事を馬鹿にされているのが心底許せない」

「...まあそうだな。...だけどこんなんでキレても...状況は何も変わらない」

「私は決めた。...あの女を地獄に堕とす」

「...花園。...一旦落ち着け。ここから離れよう」


それから花園の手を握ってから俺は俺の家に案内した。

そして花園は涙を拭ってからそのまま俺の家に入って来る。

っていうかついでと思ったけど...よくよく考えたら。

家の中に萩原以外の女子を入れたのは初めてだ。

そう思いながら俺は赤面した。


「...ありがとう」

「何が?」

「あのままだと殺してた。多分...萩原を」

「...それは分からんでもないが...やりたい放題だと...マズいから」

「そうだね。冷静に考えて...やる」

「...ああ。お前なら出来るよ」


そして俺は花園を客間に入れた。

それから俺はお茶を淹れてから2人分持って行ってからお茶菓子も持って行った。

そうしてから2人、静かな空間に浸る。

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