幼馴染に浮気されたので絶望して俺は自殺しようとした。そうしたら何故か知らない美少女達が俺を救った
楽(がく)
第一章 貴方への
終止符が破られる時
第1話 10回目に叶う奇跡
俺を嘲笑いやがって死んでやる。
4月の中旬だが俺、佐沼隼人(さぬまはやと)はそう思った。
そして俺は電車に飛び込む為に駅で快速列車を待っていた。
正直俺の何が悪かったか分からない。
というか絶望の果てだな。
「ははは。最後ぐらいマジに絶望させてくれるな」
そう呟きながら俺は快速列車を見る。
そんなホームに入って来る快速列車にダイブしようとした。
その時だった。
肩を思いっきり掴まれた。
「何をしているんですか?」
まだ動いても無いのにそう言われた。
背後を見ると猛烈な美少女が...。
俺は驚愕して足を止める。
そして快速列車はこの場所に入って来て停まる。
つまり自殺し損ねた。
俺は額に手を添えてその美少女に問う。
「...何だよアンタ?」
「私は花園美幸(はなぞのみゆき)です。...と言っても...まあ今はどうでも良いですけど。...貴方は自殺しようとしましたね?」
「良く分かったな。...それで快速列車に飛び込もうとした」
「...それは良くないですね」
「良くないってアンタに関係無いだろ。...死なせてくれ」
どうあがいても死にたいのだが。
そう思ったのだが花園は「死なせませんよ」と言う。
それから黒の長髪を靡かせてから「私の目の黒いうちは」と言った。
小顔が真剣な顔に染まる。
いや...何でそんなに執着して俺を止める。
「いやいや。関係無いだろアンタにマジに」
「知ってますか?列車で自殺すると莫大に賠償がかかるって」
「...」
「...私は貴方を死なせません。止めたんですから」
「...分かった。死なない。別の方法を取る」
「死なせませんって言いましたよね」
「いや。別にいいだろ。首吊って死ぬから」
「それもさせません」
何なんだコイツ。
そう思いながら俺は盛大に溜息を吐きながら改札を出る。
それから歩くがその女子はどこまでも付いて来る。
マジかコイツ。
何なんだ。
「あのなぁ。...お前何なんだマジに」
「私は...貴方を死なせません。ただそれだけ」
「いやだから意味分からないって。お前...出会ったばかりの子にそんな事を言われる筋合いはないって」
「...」
出会ったばかり、という言葉にピクッと反応したが。
直ぐに俺に向いてくる花園。
意味が分からん。
そう思いながら「何だ」と聞く。
「...私は...貴方とは初対面ですが...だけど貴方を死なせないって決めています」
「意味が分からないんだが...」
「...貴方は何で死にたいんですか?」
「...それは...」
「死にたい理由もなしに死にたいとは思えませんので」
「...浮気だ。...好きだった女子の」
「そうだったんですね」
「そう。お前に関係無い。だからもう放って置いてくれるか」
そう吐き捨てながら俺は歩く。
だが花園は「いえ。諦めません」と言う。
何だコイツ!?
俺は驚きながら花園を見る。
「ずっとお見かけし...今日は初めてですが私から積極的に貴方という人に声をかけて良かった」
「...?」
「今日、貴方の落ち込む姿を見て流石にヤバいって思ったので」
「何で俺を...見ていたんだ」
「へ?...そ、それは何でも良いです」
「良くないんだが...まあどうでも良いか。死なないから帰ってくれるか」
俺は花園にそう言う。
それから花園から踵を返して去ろうとした。
すると花園は「本当に死なないですか」と聞いてくる。
俺は「...お前を見ていたらなんか死ぬのも飽きた」と言う。
「...じゃあ証明してくれますか。...10分後に生きている証拠を私のアドレスに送って下さい。じゃなかったら私は貴方を恨みます」
「花園。...お前何でそこまで」
「言ったでしょう。私は貴方に死なれては困りますって」
いやいや。
死なれて困るってお前...出会ったばかりの女子に。
何でそんな事を。
そう思いながら俺は深刻な顔をする。
すると声が聞こえた。
「...私は貴方に出会ったのはすれ違ったのも含め10回目です。そして貴方は...私のヒーローです」
俺は衝撃を受けて顔を上げる。
花園は真剣な顔をしていた。
そして俺に「覚えてないと思いますが貴方は私を人込みから救った」と話す。
胸に手を添えてから俺を必死に見てくる。
「だから死ぬなんて言わないで下さい」
「あの時は...っていうかあれはお前だったのか。俺すぐに顔も見ずに立ち去ったけど」
「そうです。...いつかお礼をって思っていたら...」
「だけどこんな」と花園は声を震わせる。
俺はその言葉に「...」となってから「分かった」と言った。
そして花園に「もう暫く生きてみる」と向く。
花園は涙を拭ってから「!」となる。
「...死ぬ理由はまだ変わらないけど。...女性を泣かせる程に屑にはなりたくない」
「...はい」
「...俺は佐沼隼人だ。...ありがとう」
そして俺達はアドレス交換した。
それから俺は踵を返してからそのまま花園に手を振って去った。
死のうと思ったのに。
全く...何か狂った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます