第6話 エピローグ
全ての真相は、防犯カメラの映像と、佐藤のパソコンに残された「十の命令」によって明らかになりました。
佐藤は死の直前、全ての証拠を警察に送信していました。それは、彼の人生における10の重大な決断の記録でした。
1. 大学時代、木村を闇金融の世界に引きずり込んだこと
2. 美咲との結婚を、愛ではなく計算で決めたこと
3. 会社の金を着服し始めたこと
4. 渡辺を脅して共犯にしたこと
5. 妻に嘘をつき続けたこと
6. 違法な金融取引を続けたこと
7. 多くの人々の人生を狂わせたこと
8. 全てを告発しようと決意したこと
9. 死を覚悟したこと
10. 最後の真実を明かすこと
犯人は木村でした。彼は佐藤の告発を恐れ、薬物で殺害しました。しかし、佐藤は死の直前、全ての証拠を警察に送信。さらに、マンションの防犯カメラには、木村が犯行に及ぶ様子まで録画されていたのです。
皮肉なことに、佐藤の死は、彼の最後の贖罪となりました。彼の死をきっかけに、巨大な闇金融組織が摘発され、多くの被害者が救われることになったのです。
美咲の元には、夫からの最後のメールが届きました。
「美咲へ。僕の人生における最大の幸せは、君との出会いだった。最後の最後に、本当のことを話せなくてごめん。許してほしいとは言わない。ただ、これが最後の嘘であることを誓うよ。」
事件から一年後、この事件をモデルにした映画が製作されることになりました。そして、SNSには新たなハッシュタグが登場しています。
#十の命令事件
「あなたなら、10の選択をどう変えますか?」
その問いは、今も多くの人々の心に残り続けています。
『十(10)の証言(トウノショウゲン)』 ~それぞれの告白が、真実を葬る~ ソコニ @mi33x
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます