アンダーヒーロー

鐘鳴怪

第1話

 古びた映画館で、外国の白黒映画を観ていた。その映画は、吹替版もなく。

 スクリーンの下に出る。小さな文字の字幕が見づらく。全然、内容が

 入って来ない。いや、それ以前に俺は字が読めなかった。だから、この

 映画がどんな話なのか。俺にはわからない。映像を見て、何となく

 こういう話なんだよなぁ~と頭の中で考えていた。そんな話がわからない。

 昔の映画を何で、観ているかと言うと。だたの暇つぶしと答えるしかない。

「この女優さん。めちゃくちゃ美人だよなぁ~。でも、今はばばぁかぁ・・・・・・」なぜか、落ち込む。俺がそこにはいた。古びた映画館の

一番真ん中の席で。俺は映画を金も払わず観ていた。床に落ちていた。

ポップコーンを頬張りながら。俺は「いたぞ」俺は「よぉ、クソガキ~

人の金を返さないで、のんきに映画を観てぇー随分と、リッチなぁ生活を

送っていますねぇ~」パンと俺の手に持っていた。ポップコーンが、再び

床に落ちる。落ちたポップコーンを見つめる。俺の頭を強引に掴み。

俺の顔を前の席に思いっきり叩きつけた。顔を上げさせると、俺の鼻から

血が出て来た。「借りた。金、返そうかぁ」男が、優しい口調で話しかけてきた

けど。俺は、男の顔に唾をかけた。男は、鬼の形相になり。俺の顔をまた、前の席に

叩きつけた。何回も、何回も、何回も。顔中血だらけになり。さっきまで、食べていた。ポップコーンの味が血の味に変わっていた。いや、もともと味なんか

しなかった。「じゃあ、ちょっと外に出ようかぁ」男に強引に映画館の外に

連れ出され。その後は、記憶が飛ぶほど殴られた。何度も、何度も、何度も

殴られた。「まぁ、今日はこのぐらいで帰るとしますか。明日までに、残りの

お父さんが借りた。お金。耳揃えて、返してねぇ」借金取の男が、俺の腹を

強く蹴り飛ばす。蹴られた俺の口から、ドス黒い血だまりがコンクリートの

上に着いた。俺の体中は、あいつらのせいで汚れてしまった。顔中に真っ赤な

血をつけながら。俺は、空をみつめた。みつめた空には、何万個の星が

キラキラと輝いていた。俺は星を眺めながら。「星がキレイだ」と一言だけ。

言葉を吐き出した。口から、夜の冷たい空気を吸うと肺に入って。

とても痛かった。

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