男女比1:100の貞操逆転世界、男がいなさすぎて百合が乱立する
スイセイムシ
第1話 大百合時代
男女比1:100の貞操逆転世界で希少な男たちを独占したハーレム女王プラチナ・デニー。
彼女が絞首台前で放った言葉。
「アタシの男たち? 欲しけりゃ上げるよ。探しな! この世の全ての男をそこへ置いてきた!!」
その言葉を聞いた女たちは世界中を探し男たちはついに見つからなかった。
そして現在女だらけの世界で百合が乱立し、大百合時代が到来していた。
────
「コマリおはよう」
「おはようミカ!」
「ミカ来た!」「グッモーニン!」
第56人目の彼女であるコマリに挨拶する。
すると第304番目の彼女のハルと第189番目の彼女であるモニカが駆け寄ってきた。
やたらと彼女が多いのは私がモテるからではない。
相性を測定する装置──ラブカウンターで彼女たちにとって100%の好相性の相手と診断されたからだ。
100%の好相性の相手に会える機会は稀有で一生でもそう何度も会えるものではないので必ず彼女になるようにお願いされる。
実際に100%の相手をパートナーにすれば本人は幸せになれるので皆必死だ。
OKと言うまで何度も彼女になるように言い寄ってくるし、こちらの状況など全く気にすることはない。
何股であろうとOKだし、こちらからの相性診断の結果などは気にしない。
わたしの診断で見た彼女らの相性は全員50%を下回っている。
彼女たちと付き合ってもわたしの幸せは保証されているわけではない。
むしろ大概の人間は高校二年までに80%以上の好相性の彼女と出会えることを考えると他の人よりもリスキーな選択をとっていることになる。
それを認識した上で彼女たちとの関係を維持しているのは私に自分が幸せになると言うイメージができないからだ。
私の世界には現状以上がないから多少リスキーな状態でも受け入れられてしまう。
いくら使っても肌荒れしない洗剤があったとしても認知しなかったら、特に抵抗もなく肌荒れを起こす洗剤を使うようなものだ。
流石に当て所なく50%以上の好相性の人間を探すわけにもいかないし、このまま卒業後にこの学校にいる300人の彼女の誰か一人と本格的に付き合うのだろう。
「今日は転校生を紹介する」
挨拶を済まして席に着くとだいぶ早く先生が教室に到着して集まっていた彼女たちが散っていく。
「転校生か珍しいな」と思うと身長が二メートル近くある浅黒い肌の女が入って来た。
見た瞬間に脳裏に電撃が走るような感覚に襲われる。
これは100%の好相性の相手と会った時に訪れると言われている感覚。
本能が逃してはいけないと告げている。
「ヤるか」
半ば諦めの中に沈んでいた気持ちが持ち上がり、生気が湧き上がって来た。
世は大百合時代。
男がいなくなった女が女を追い求める時代。
男女比1:100の貞操逆転世界、男がいなさすぎて百合が乱立する スイセイムシ @ryutouhebi
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