04-09:本当の気持ち

 ──風呂上がり。

 ドライヤーで髪の水気を飛ばしてから、下着姿で部屋へ。

 ん……着信アリ。

 蔭山さんからのLINEメッセージ。

 自宅の住所、グーグルマップのスクショ、バスの路線と時刻。

 それから「お待ちしてまーす」という台詞が添えられてる、白いトカゲみたいな謎キャラのスタンプ。


「うーん、至れり尽くせり」


 パジャマを着、ベッドの上できょうのことを振り返る。

 片肘をついたはんぞうスタイルで、のテーブルを見下ろしながら。

 あのテーブルで向き合って、蔭山さんと休日を過ごした。

 たとえ勉強という名目でも。

 途中、ちょっとしたハプニングで、おかしな夢を見て……。

 その夢の中で、あたしは気づいた。


「あたしはやっぱ……友達以上に、蔭山さんが好き」


 想いが勝手に言葉として漏れた。

 低反発クッションの上に、きょうの蔭山さんの姿、そして声がうっすら蘇る。

 あたしの指先には、夢の中で覚えたあの前髪の感触も──。

 あれ本当に、夢だったのかな……。

 あたしは……瞳が見えないミステリアスさ込みで蔭山さんに興味津々なのか、顔のパーツの一つにすぎない目なんて関係なしに、蔭山さんに惹かれてるのか……。

 あした、蔭山さんちで、本当の気持ちを確認しよう。

 とりあえず──。


「……とりあえず!」


 今夜は、蔭山さん座ってたクッション抱いて寝よっと。

 いやいや、ここはいっそ枕に……。

 蔭山さんの膝枕の感触、夢の中で思い出せるといいな──。


 ◇ ◇ ◇


 ──翌朝。

 買ってすぐの、硬さが抜けてない低反発クッションを枕代わりにすると、首を痛めやすい……。

 15歳の梅雨、あたしはそんな雑学を身をもって知る──。

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