妖精プルちゃん!
ぱっちょ
第1話 プリっとした芋虫助けました。
家の前の路上に大きめのぷりぷりとした芋虫がいた。
ここは閑静な住宅街だがそれなりに車や自転車は通る。
目の前にある芋虫も少し先の未来でプチュっと潰されてお陀仏するだろう。
…「にしてもデカすぎるなぁ」
マジマジと見ると、稀に見る大きさで流石に気持ち悪い。大きさにして人差し指くらいの長さはありそう。
しかも明日の朝、玄関を出たらこの芋虫が潰されて大きめのドロっとした液体が目に入る未来が想像できる。嫌な気分になるに違いない。
しかもこの芋虫だが、デカい以外にも、変な模様があって特徴的で覚えやすい見た目をしている。これが蝶になるのか蛾になるのか分からないが、潰される事がわかっていて無視するのは目覚めが悪いので避けてあげることにした。
箒と塵取りでキャッチして家の玄関横のちょっとした花壇に移動させる。
ここなら猫の心配も鳥の心配もないだろう。
なんてったってここは、お母さんが丹精込めて育てているバラの花壇だから。
花壇にはうちの愛犬、こげ丸がおしっこをかけてマーキングしてしまっているのでその辺の野良猫は近づかない。
バラのトゲとマーキングの完全安全地帯なのだ。
「…バラ食べられたらやばいからキャベツでも置いておこう。甘いところのが好きかな?」
拾った命なので丁寧に対応する事に決めた。
帰ってきたお母さんとこげ丸には芋虫のことをちゃんと伝えといた。
お母さんは、あらあら可愛いじゃない。と素手で突っついていて、こげ丸はヘッヘッへと興味津々に見つめていたが、ダメだよと伝えると横目で見るようになった。
…おやつじゃないよ?
✳︎
芋虫を避難して数日が経った。
毎日チェックし、キャベツを切らさないように与えた。
どうやらキャベツを与えるのは正解だったようで今では一日一枚食べるように成長した。
大きさは手のひらサイズだ。
…早速だが疑問に思った。
疑問に思うのが少し遅かったかもしれないが、これは芋虫なのだろうか?
あまりにも大きい気がする。
よく分からないが、とりあえず害もないし愛着も少し湧いたのでこのまま育てようと思う。お母さんも最近バラの咲き方が綺麗になったとこの芋虫のことを大層褒めているので気に入っているみたいだ。
こげ丸は相変わらずヘッヘッへと目を爛々とし、視線を芋虫に向けている事があるので、毎日ダメだよっと伝えている。
…お手おかわりを自主的にするんじゃありません。
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