あいでんてぃてぃ・くらいしす~現代ダンジョンの大英雄はTS転生して帰還する~

@TOKAGE123

第1話 上里天城と千歳天城

アイデンティティ・ウェポン。略して「IW」


ただの鉄剣、果ては物干し竿なんてものを召喚している者もいた。


だがそれを殆どが元一般人だった者たちが、音速を超えた速さで振るい、戦車砲クラスの一撃を放つ超常的な光景…しかし。


そんな「覚醒者」達を軽くなぎ倒す存在。


後に「比類なき怪物」と称されるモンスター。


姿形はTレックスを人型にしたような存在、だがその怪物はただただ圧倒的な腕力にて覚醒者を圧倒する。


対ダンジョン作戦の最終段階、各国の覚醒者たちが集結し、突如出現し国連軍を蹴散らした怪物の討伐を計画したが…結果は敗北寸前であった。








「やべぇなこりゃ」


「終わったかねぇ…」


俺は上里天城、まあ、元普通の…いやちょっと普通より優秀…だったかもしれない高校生だ…いや偏差値60あれば優秀だろ?え?諸条件による?まあ…うん、どうでもいいな、これ。


まあ、ダンジョンなる存在が出現して、色々あって…覚醒者なる存在になった俺は、まあ弱冠15歳にして戦場送りよ…人類の危機の前に少年兵どうこう言っている場合ではなかったからね、しょうがないね(小並感)。


で、重要なのは今の状況ってわけで…数百人の覚醒者たちはあの脳筋恐竜モドキの前に敗北寸前だ。



「…で、準備はできたか?上里?」


「ああ、できたぜ、細川さん」


俺は隣にいる元サラリーマンのおっさん…細川さんに、そう答える、本人的にはまだアラサーのお兄さんらしいが…またまた、どうでもいいな、これ。


ともかく今、覚醒者たちは最後の踏ん張りで奴を数十秒拘束することに成功する。


…拘束してどうするかって?そりゃ決まっている…最大火力をぶち込むためだ。


「やってくれ細川さん」


「…ああ【風伯】起動、射線上を真空に」


細川さんの空気を操るらしいIWにて俺から、あの怪物までの一直線が真空になる。


「さーて、ちょっと…死んでくるわ」


まあ、最大火力を出せるのが、俺で、今の俺じゃあその反動に耐えきれず、木っ端みじんになるって、だけなのだけど、な?


「…何か、言い残すことはあるか…上里少年」


言い残す言葉…遺言かねぇ?


「ねぇな」


「…そうか」


だって…そんなもの言うと、未練が残る、まだ生きたくなっちゃうからな。


さて…やるか。


俺のIWは簡単言うと所謂レールガンだ。


そして俺のレールガンは理論値を出せる、そう、レールガンは理論上無限に加速が可能であり…俺の最大出力で放てばその速度はほとんど光速に達する。


火力特化、一撃必殺それが俺のIW。




「【ストーン・ヘンジ】起動」




どうだ、世界を救いそうな名前しているだろう?


「あばよ、俺と化け物」




―一人の少年が命と引き換えに放った一撃は「比類なき怪物」を穿ち、この世から塵も残さず消滅させた、そうして、彼は「ダンジョンの世紀」、最初の…英雄となった―








「…うむ」


また前世の夢かぁ。


時刻は7時、今日は土曜日、学校は休み、というか春休み中です。


私【千歳天城】の前世、【上里天城】の最後の記憶だ。


そう、俺、上里天城は転生して千歳天城となったのだ!


で、なんで一人称が変わったって?簡単だ、TS転生だったのだ、クソが。


おっと、女の子がクソだなんていってはいけませんね…クソが、暴言に性別はねぇよ。


…とまあ色々言っていますが15年もこの体で生きていれば、まあ、色々と受け入れられるわけで、なんかもう慣れた(小並感)。


「起きようかな」


俺、改め、私、起床。


目覚めはいい、何たって、この体、妙にスペックが高い、容姿も含めて、ふはは、TS美少女だ、ひれ伏せ…はぁ。


…なんかこの躁鬱みたいなテンションも疲れてきたし、やめだ、やめ。


コンコン


「むっ?」


ノックの音、玄関からだ。


…インターホンが付いているのにわざわざノックするのは…あいつか。


全く、朝っぱらから一人暮らしの女(TS)の部屋に気軽に訪ねてくるなよ…はぁ…。


コンコン


「ちょっとまてーや!」


私は玄関に向かいカギを開ける。


「よ、天城」


ドアの前にいたのは、長身のさわやかな雰囲気の男、齢は私と同じぐらい、というか同じ。


竜谷隆二…一応、幼馴染、いや腐れ縁か。


「なによ、ドラドラ、朝っぱらから?」


「…そのあだ名…やめない」


竜谷隆二、だから私はドラドラと呼んでいる。


「はいはい、で何の用?」


「てか、天城、なぜ寝間着?」



「君が!朝っぱらから!訪ねてくるからでしょが!」


「おーおー、そう怒んなさんな、折角の美貌が台無しだぜ」


戯言を宣う隆二を無視して背を向ける。


「どこ行くんだ?」


「シャワー」


「お、じゃあ俺はリビングで待たせてもら」


「玄関で待て、ドラドラ」


「わーお、鬼畜」

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