プロローグ 『金剛 晟』

俺の名前は金剛 晟-こんごう あきら-

我ながら実に読みにくい名前だと思う

そして名前の厳つさからは想像も出来ないほど、俺は至って平凡な暮らしをしている


「ふわぁ〜……」

「あら!起きたの?アキちゃん!朝ごはんそこに置いてあるから食べてね!」

「ふぁーい」


まずは朝

とても真面目な男子高校生の俺は学校に行くために朝の8時に起き、母さんの作った目玉焼きとベーコン乗りのトーストを食う

どっかで見たことあるような食事だなと思ったそこの君

触れるんじゃあない

こんな時間に起きてゆっくりしてて大丈夫なの?と思われるかもしれないが心配ご無用

俺の高校は徒歩10分程度のところにあるから遅刻の心配は一切ないのだ

ちなみに偏差値は低い


『続いてのニュースです』

『最近発生している宝石獣-クリトス-の凶暴化について政府からの表明について』


この世界には宝石獣-クリトス-っていう特殊な人種がいるんだが……

いや、これは俺ら一般人には関係の無い話だしいいか


「ごちそーさま」

「はい。お粗末さまでした」


母さんに食べ終わった皿を渡し歯を磨きに行く

父さんはいないのかって?俺が起きる3時間前には起きて電車でせっせと働きに行ってるよ

そのまま相も変わらず冴えない顔をしてる奴を見ながら無心でシャッコシャッコと歯を磨く

この時間は虚無になりそうだ


「ごぼぼぼぼぼ……ペッ!!!」

「……おし、歯磨き終わり。あとは着替えて学校行くか」


現時刻8時半

学校は9時までに登校したらいいので割と余裕がある

階段を登り自分の部屋で制服へ着替え、鞄を持つ

ちなみに置き勉をしているので鞄は空だ

めちゃ軽い


「しっかし、そろそろ片付けねぇと母さんに怒られるよなぁ……」


俺の部屋はどうなってるのかと言うと散らかり放題

ゴミとかが転がってる訳では無いのだがそこら中に脱ぎっぱの洋服やらなんやらが散乱している状態だ

だがしかぁし!!!漫画やフィギュア、ゲームといった物ははちゃんと保管しておりホコリ1つ付いていない!

オタクたるもの聖書※漫画と宝珠※フィギュアと至宝※ゲームは大切に、それはもう大切に保管しなければ


「アキちゃ〜ん!遅刻するわよ〜!」

「やべっ!」


ふふん!とドヤ顔をしていた俺は母さんに一声によって我に返る

そのままドテテテと騒がしく階段を駆け下り、弁当を持った母さんに弁当を手渡されワタワタと靴を履く


「アキちゃん。行ってらっしゃい」

「ん。行ってきます」




─────────────


「あらぁ!アキちゃんじゃない!これから学校?」

「うす。おはようございます」

「はい。おはよう。学校頑張ってきてね」


学校に行くには商店街を超えていく必要があり、小さい頃から通っているおかげで商店街の人たちとはほぼ全員と知り合いだ

母さんがアキちゃんアキちゃんと言うため商店街の人たちからもそう呼ばれている

少しむず痒いからやめて欲しいが、笑顔でアキちゃんと呼ばれるとやめろと言うのは幅かれるため未だにアキちゃん呼びだ


「おっ、やっと学校着いたか」

「つってもここまで10分ぐらいしか経ってねぇしやっともクソもねぇか」

「おーい!晟!」

「おー。はよ田中」

「はよはよ〜」


こいつの名前は田中 春樹

俺と違い読みやすく厳つくもない名前だ

今すぐにでも名前を交換して欲しい

田中は俺が中学の時からの付き合いでそれ以来ずっと同じクラスの親友みたいなやつだ

この前そう言ったら否定されて泣いたことは内緒な


「今日の一限数学だってさ」

「うげっ、マジかよ最悪……」

「お前数学の木村先生ほんと嫌いだよね〜」

「当たり前だろ!?毎回毎回チクチク小言を言ってきやがって……!」

「それは晟が課題を忘れるのが悪いと思うよ」


それは言うな




「はよ〜」

「おはよ〜」


扉を開けて挨拶をすると教室の中から実に気の抜けた返事が返ってくる


「相変わらず気が抜ける奴だなお前」

「金剛くんには言われたくないな〜」

「仲がいいね2人とも」

「あっ、田中くんもおはよ〜」

「うん。おはよう清水さん」


目の前に座る女の名前は清水 瑠璃-るり-

腰までの長い髪を緩く後ろで三つ編みにしてて目鼻立ちが整った人間だ

清水は高校から知り合った人間で、俺のどこに琴線が触れたのか分からないけど何故か気に入られてる

ちなみに清水はこのクラスの美化委員で園芸部

毎日どっかしら掃除してたり、部活で育てている植物を朝早くから登校してる

顔も整っていて成績も優秀

実は結構なモテ女なのである

けどどうもどこか抜けていて、天然と呼ばれる人種だ

そんなこんなで3人で中身のない談笑を続けているとチャイムが鳴り出す


「はーい座れ〜」


そんなこんなで俺の一日の学校生活の始まりだ

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