第2話 感覚派

 と言ったものの、どう書いていいか悩むよね。読むのも書くのも訓練がいるから。自分も本など読めなかったし、書けもしなかった。戸惑いながらも黒歴史をたくさん生み出したものだ。


 まず、自分はどんなタイプなのかを知るといいと思う。


 細かい分類は他の人に任せるとして、プロットを書けるか書けないかの二種類に分けるとする。


 あ、自分はプロット書ける! って人は世に出ているハウツー本なりYouTuberを観るなりしなさい。そこに答えがあるから。ここにはないと断言しておこう。それでも読み進めるならそんな人もいるんだな~ってくらいの感覚でいてください。


 書けない人はよく妄想するでしょう。


 そのとき、頭の中で動いているのはアニメのような映像か漫画のような小割りで浮かんでいるんだと思う。ちなみに自分は映像で浮かぶタイプ。


 書いたことがなくても妄想することはできるでしょう? 妄想をより明確にしていけば百文字は余裕で書けるはず。


 そこは戦闘シーン? 出会いのシーン? 回想シーン? 季節は春? 冬? 戦っているのは誰? 自分? 自分が考えたキャラクター? そのキャラクターは男? 女? 歳は? 格好は?


 頭の中で行われるキャラクタークリエイトは楽しいでしょう。わくわくするよね。


 そこから物語を構築していける人はそうやって世界を広げていけばいい。


 戦闘シーンではなく世界を思い浮かんでしまったなら、そこで活躍させたいのは男? 女? 子供? 老人? 獣? 人外? 一人称がいい? それとも三人称のほうがいい? それを決めるだけで一時間は妄想していられるでしょう?


 それを繰り返すだけでも頭がそういう働きをみせていくもの。書き出す前の準備運動のようなもの。


 妄想が捗ってきたら文字で妄想していく訓練だ。


 文字にしたいなら書いてみてもいい。起承転結なんて考えなくていい。好きなシーンを書くだけで構わない。慣れないうちは一つの物語を書くのは苦行みたいなものだからね。


 それでも最初から書きたいというなら小説投稿サイトに登録してみるといい。登録しなければ書くも消すも自由自在。誰に見せるわけでもないからね。


 じゃあ、投稿サイトに書くとして、最初の一行はどうする? どんな場面から書いたらいい?


 迷ったら書籍化した作家さんや人気のある作家さんを参考にしなさい。


 よく最初の一行で読者の心をつかまないといけないとあるけど、八割方、正しいと思う。絶対そうだとも言えないから難しいよね。


 でも、まずは正攻法だ。初心者なら自己紹介から入るのがいいと思う。

 

 ぼくは山田太郎。十六歳。どこにでもいる高校生だ、とかね。

 

 主人公が誰であるかを説明しておくのも一つの手法であり、経験上、その場合は一人称が勢いが出ると思う。


 他にも場面の説明、そのときの気持ち、独白、桜が咲いているとかの季節、天候でもいい。そのときは一行で表すのがベスト。読者がページを開いたとき、一行目には必ず目が行くから。その一行で読者を引き付けろ。


 そして、次は二行に収める。目が次へと移るように誘導する。そこで引き付けないと訓練されてない読者はブラウザーバックするだろう。


 書き慣れた人の一ページは綺麗だ。とても綺麗だ。最初からリズムに乗っている感がある。一ページだけでもいいからたくさんの人のを見ておくといい。開いたとき、綺麗って思えたら、あなたは感覚が開化した証拠だ。

 

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凡人による物語の書き方みたいなもの タカハシあん @antakahasi

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