第2話
「それで、どっちのケーキを食べるの?」
忘れていなかったのか。
「当然私のだよな!」
僕としてはどちらのケーキも好きなのだが選ぶのなら。
「母さんの作ったホットケーキが一番好き。」
やっぱり母の作ったホットケーキは何よりも大切で美味しいものだ。
「嬉しい事言ってくれるわね。なら作ってあげるから待ってなさい。」
姉ちゃん達とのやりとりをニヤニヤしながら見てた母の作ったホットケーキが好きだと言うと勝ち誇った顔をしてホットケーキを作りだした。
「くっ、確かに母さんのホットケーキは美味しいが」
「負けたわね。」
「子供が母に勝てる訳ないでしょ。」
そんな感じのやりとりをしていると綾姉ちゃんの携帯が鳴った。
「綾姉ちゃん、携帯鳴ってるよ」
「ありがう!うげっ!」
珍しく綾姉ちゃんが携帯を見ながら嫌そうな顔をした。
「どうしたの?綾香?」
雫姉ちゃんがそう言い綾姉ちゃんの携帯を覗くと綾姉ちゃん同様嫌そうな顔をしてため息をついた。
「はぁ。綾香なんで着拒してなかったのよ。」
「だってすると捕まるって言ってたから」
「誰が?」
「こいつが」
「そんなの嘘に決まってるでしょ。」
母さんの作ったホットケーキを頬張っているとそんなやりとりが聞こえた。
「どうしたのよ2人とも。」
母さんが2人の元へ行くと母さんまでも嫌そうな顔をした。
「なんで連絡先交換してるのよ。」
「だって」
「綾香にそんな事わかる頭は無いわよ。」
「はるとー母さんと雫がいじめるー。」
綾姉ちゃんは強気な物言いだが押しに弱くメンタルも脆いためよく僕に抱きついてくる。
「はいはい。よしよし」
「うー」
「母さん携帯見せて」
ずっと鳴り続ける携帯を母さんが渋々渡してくれた。その画面に映っている名前は天宮浩二。母のハトコに当たるそうだ。
「なんで綾姉ちゃんこいつと連絡先交換したの。」
「うー晴翔までそう言う」
天宮浩二、100人以上の女性を侍らせその性格は傲慢で手に入らないものは権力でも金でもなんでも使って手に入れようとする所謂腐った人間のクズだ。こいつのモノになった女性達は皆何かしらの弱みを握られておりそれを脅しに使われ悲しみに歪ませる。その過程で女性が自殺すれば笑いまくり人生の喜びとしているため本当にクズだ。
「もしもし、おいクソ野郎なんで綾姉ちゃんの連絡先知ってんだ!」
『あ゛?何様だテメェ。俺のやる事に口出しするな!そもそもお前は誰なんだよ!まぁいいお前ら女は黙って俺に従ってればいいんだよ。』
「母さん」
「わかったわ」
母さんに目配せをした後母さんは携帯を出しある人物に電話をし始めた。
「もしもし、お母さん?前から言おうと思ってたんだけど私ね男の子を出産したの。」
ちょっと待って母さんおばあちゃんに僕のこと言ってなかったの⁉︎
「うん、うん、そう。10年前に産んだわ。うん、だからあの男のことなんだけど。...ホント⁉︎うん。今度連れて帰省するわね。」
母さんが電話を終えもう大丈夫と言ってくれた。
「おいクソ野郎。お前を守ってくれてた天宮家当主様がお前との縁を切るってよ」
「じゃあなクソ野郎」
電話の向こうで何やら言っているようだが無視して切った。
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