第11話

13時半頃、私は倉庫を出る事にした。

みんなは送ってくれると言ってくれたけど、家を知られるわけにもいかないから、丁重にお断りした。



倉庫を出てすぐ、少し前にコンビニに出かけた祐聖と鉢合わせた。



「あれ?帰るんだ?」



「うん。暉の事も心配だし…

お邪魔しました。」




「送ってこうか?」



いつもの優しい意地悪な顔をして、祐聖は言う。



「…どういう風の吹きまわし?」




「…失礼だね。」




「日頃の行いでしょ。」




いつも私をからかって、1人ケラケラ笑ってくるやつなんかに優しくされた日には槍が降るわ。



それじゃあ、と歩みを進めようとすると呼び止められた。




「これ、暉にやって。」



そう言ってコンビニの袋から出てきたのは、暉が好きなりんごジュースだった。




「あ、ありがと…

けど、どうしたの?」




「700円買ったらついてきた。」




「そうなんだ。暉これ好きだから喜ぶよ。

ありがとう。」




暉には優しいのね。


でも、やっぱり槍降るかも…

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