第2話
空き教室を飛び出し、僕は教室に戻るわけにもいかず校舎の屋上に来ていた。
「どうすればいいんだろう、、、、、、」
晴天の空が僕を見下ろしながら心地の良い風が屋上に吹く中僕の心はもやもやとした闇に包まれ続けていた。あの理恵の反応から美香の言っていたことは大方正しいことなのであろうと簡単に想像できる。
僕は屋上のフェンスによりかかりながらうずくまり涙を流し続ける。
本当に理恵のことを僕は愛していたのだ。少し重いと思われるかもしれないが本気でこのまま結婚までできればいいと思っていた。そう思わせるほど彼女との関係に今まで不満など僕にとってはなかったのだ。だが、理恵にとってみればそうではなかったようだ。だからこそ、今このような状態になってしまったのだ。
校内に昼休みが終わり5限目の授業の始まりを告げる鐘の音が鳴り響くが僕には教室に戻って授業を受ける気力は残っていなかった。
しばらく時間がたっても僕には教室に戻る気力は沸いてこらず、ただどうしていれば理恵との関係をうまく維持することができたのか考えるばかりであった。理恵が浮気をしようとも僕の彼女に対する思いは冷めることがなく、それがより一層僕を苦しみ続けた。
屋上の扉を開くときの金属音が屋上に響きわたる。僕はとっさに顔を扉の方に向ける。そこには、僕に理恵が不貞行為をしていると教えてくれたクラスメイトである美香が立っていた。彼女は何も言わずに僕の隣にゆっくりと座りフェンスに腰を掛けた。
「何も言わなくていいから。大体何があったかわかってるし」
美香は僕にそうつぶやく
「君が5限目の授業に出てないことに気付いて心配になって探したの。理恵のこと話したの私だし、何かあったら悪いじゃん」
僕が教室に授業を受けに行かなかったことで思わぬ心配をかけたことに申し訳なさを感じる。
「私ね、理恵が君と付き合う前から二股をするとか、あんまり素行のよくない連中とつるんでるっていう様な悪い噂が少しあったの。でも理恵、学校じゃ優等生で通ってるから、みんな噂なんて信じてなかったし私もあの写真見るまでは嘘だと思ってたけどね。だから噂が広まることがなかったんだって思うし」
僕は、理恵にそんな噂があると知らなかった。学校での理恵はその美貌も相まって一目を置かれる存在だからその噂が広まった当初は、理恵を嫉んで流されたものだろうと考え、誰も気に留めなかったのだろう
「それなのに今回こんな写真が学校全体で回ってきたからさ、あの噂が本当なんじゃないかってみんな考えたわけ。」
朝、教室に入ったときの視線の理由についてそんな背景があったのかと僕は納得する。二股しているという噂があったからこそ、理恵と交際関係にある僕に真相を確認したくて僕にクラスメイト達が興味を示していたのだ。
僕は朝の出来事について一通りに納得する。
「ねえ、理恵がほんとに浮気とかすると思う?」
美香は僕にそう尋ねる。
僕は理恵と付き合って彼女のいい面も悪い面もある程度はわかってきたつもりでいた。だから、彼女が人を裏切る行為である浮気したといわれても信じることができないのだ
「僕はまだ理恵が浮気したって完全には信じ切れていないし信じたくない。でも、昼休みに話した時の彼女の反応はそれを認めるものだったんだ」
美香は少し考えるようなしぐさをする
「ねえ、私たちで理恵が浮気してるか確かめてみない?私も理恵が浮気なんてするような人間とは思えないんだだから二人で調査するの探偵みたいに」
確かに、理恵が浮気を肯定しようが否定しようが僕たちはそれを完全に信じることができず何か裏があるのではないかと勘繰ってしまうだろう。だからこそ僕たちは自分たちでその真相を確かめる必要があるのだ。
「よし、僕たちで理恵の浮気の真相を確かめよう」
キミがそこに立つ理由 kita @yakaytanimm
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