第11話

翌日。俺が目を覚ました時には朝陽はいなかった。


どこに行ったのだろうかと思った俺は、

朝陽を探し始めた。


「朝陽…どこに行ったんだ…?」


探しても見つからない。諦めかけた時、

何処からか声が聴こえる。


「…ナさん…ルナさーん!!」


再び目を覚ました時、朝陽が目の前に居た。


「やっと目を覚ましましたね!朝食が来てますよ!?」


夢か。と内心思いながらも俺は、朝陽を抱き締めていた。


「…どこに行ってたんだ…。探してたんだぞ…。」


朝陽は笑いながら、俺の頭を撫でた。


「俺はどこにも行ってないよ?ここに居ますから。」


その後、二人で朝食を食べ…少しばかり観光する事にした。



「ルナさん、見て!!あんな所にお猿さんが居るよ!」


子供のようにはしゃぐ朝陽を見て、俺も微笑んでいた。


「…あ、お土産買って帰ろうよ!」


朝陽が指を指した所に、お土産屋があった。せっかくだから買う事にした。


「…朝陽、なにしてるんだ?」


ヒソヒソと何かをしている朝陽に、俺が声を掛ける。


「…じゃーん!はい、これはルナさんの。」


朝陽から渡されたのは、何か歪な形をしたキーホルダーだった。


「これをね、こうすると…!」


朝陽が同じものを合わせた時、1つの形に

なり、俺は驚く。


「…驚いた?さっきのお土産屋さんで見つけたんだ!」


朝陽は無邪気に笑いながら言った。

俺は、朝陽にありがとうと言い…持っていたバッグに付けた。


「…もう夕暮れだな。旅館に戻ろう。」


俺がそう言い、朝陽に手を差し伸べると

手ではなく、腕にしがみついた。


「…ルナさん。」


上から目線で見つめてくる朝陽に

俺は、そっと頭を撫でてあげた。


「…あとでな。」と、そう言って。

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腹ぺこ吸血鬼が、三ツ星ランクの血を持つ男に出会ったらなんやかんやでイチャイチャしちゃう話 Natal(ナタル) @Natal1204

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