第2話 パン屋の香り
朝起きることに理由が必要になった。私は寝るのが好きなんじゃなくて起きられないだけ。起きられないのは夜寝るのが遅いから。
1日を始めるのは何だか億劫なのにいざ終わらせるとなると今日が恋しくなるのは何なのだろうか。
明日早くても何もできていない気がして寝る前になっていきなり今日という日に意味を持たせたくなる。そして布団に入るのを渋ってしまう。
このことに気がついた私はまず朝起きる意味を作ることにした。
寝るのが嫌にならないようにその1日を作る。
好きな香りと聞かれた時かっこつけてブランドの香水を言う年齢になったけど本当は美味しいものの香りに勝るものはないと思っている。
そんな自分の朝のご褒美はパン屋さんに足を運ぶことにした。
明日どのパンを食べるか考えて寝る夜は空腹に耐えることを除けば全てが幸せだった。どんどん眠りに沈む。ベットの中は暖かくなる。明日のパンのことを考えすぎてパンに包まれて寝ている気がしてきた。早く明日にならないかな。朝が待ち遠しくなる。
寝るのが怖かった私はパンの香りを想像しながら朝が待てるようになった。
単純なものだ。しかし、1日の始まりを自分で決められるのは、自分の生活をちゃんと自分で操作できている気がして生きている実感にもなる。
久しぶりに6時にアラームをセットした。絶対に甘いパンを食べるんだ。
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明日晴れなくても起きられるように @i01ite
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