第16話 愉快痛快・完全勝利
これで俺達にケジメはついた。だが先生の言うとおり、ヤツの地獄はここからが本番だ。
俺達の幸せを粉々に破壊したクズ野郎に救いなんてあってはいけない。
奴が慰謝料を払いきったら、もう用済みとなる。
そのタイミングで別の切り札を発動させる。
「それでは後はよろしくお願いしますよ、奥さん」
「はい。あの男の悪事を見抜けなかったこと、お二人には心よりお詫び申し上げます。本当に申し訳ありませんでした」
頭を下げて謝罪するその人物は、俺達には本当に申し訳なさそうに頭を下げる。
そしてあの男に対しては地獄の鬼が如く凄まじい怒りの形相を見せた。
彼女の持っているファクターの影響力は、確実にあの男を様々な意味で終わらせることができると、強く強く確信できるほどだった。
「頭を上げてください奥さん」
「そうです。悪いのはあの男で、あなたは何も知らなかったんですから」
「それでも、私はあの男の妻です。あの男の処分はこちらにお任せを。必ずお二人の闇が晴れるように、徹底した制裁をお約束します」
「これが奴の被害を被った女性達のリストになります」
それは奴の会社と実家だ。そこに俺達ではなく、別の強姦被害にあった女性達から連名で訴えを起こし、会社と実家に内容証明が送られたのである。
俺達の事情を知った奥さんは、当初かなり動揺していたのだが、証拠を添えて弁護士さんと探偵共同で説得に協力してくれたおかげで完全にこちらの味方となった。
◇◇◇
事の経緯はこうだ。
奴の身辺を調査していく中で、俺達は彼の奥さんにコンタクトを取った。
そして全ての事情を知った奥さんからの提案で、探偵を雇ってヤツの被害に遭った女性達の何人かと接触を計ることに成功し、情報を共有している。
その結果、奥さんと実家の親父さんが大激怒することになり、完膚なきまでに徹底した制裁をすることを約束してくれた。
奥さんの父親は様々な方面に相当に強い影響力を持っている権力者らしく、野郎の人生は完全に『詰み』が確定した。
奥さんはもの凄く抜け目のない人であり、会社も家族も実家も、なにもかも全ての関係を清算してからの制裁発動となったため、彼女の実家や会社には何のダメージも残らないらしい。
更には野郎の実家の方にも圧力をかけ、息子を庇うようならお前らも同罪だと言わんばかりの脅しをかけたらしい(野郎の実家も同じレベルのクソだった模様)。
まずは被害者の中に既婚者がいた事実を突きつけ、普通の浮気として協議離婚。会社にバラさない代わりに、と迫ったらあっさり同意したらしい。
男は社会的地位を失うことを恐れたのだろう。
ダメージが少ないうちに撤退することを選択したようだ。
これで奴と奥さんとの縁は完全に切れた。
その上で、例の友人の女性を筆頭に被害者の会を設立して弁護士を通して連名で被害届を提出した。
証拠は完璧。更には内容証明が奥さんとは別ルートで送られたことで、奥さんサイドには何のダメージもない状態で制裁を開始した。
そして運命の日はやってきた。
「あなたに逮捕状が出ています。署までご同行願えますか?」
「じょ、冗談じゃねぇってっ! 俺は無実だっ!」
男は会社をクビになり、奥さんから請求された莫大な慰謝料によって借金地獄の状態で放り出された。
脅しで囲っていた女の家に逃げ込んでいる所を通報によって警察に押し込まれ、最後の日を迎えた(当然この女も奥さんが仕掛けた罠)。
「ですがこれは正式な逮捕状です。手錠をかけますので」
「うるせぇっ、どけっ」
「あ、待てッ」
「被疑者逃亡ッ! 追えッ」
「掴まってたまるかよっ!」
そこで奴の命運は尽きた。
司法機関からの届けとあっては警察も動かないわけにはいかず、程なくして男は逮捕されることとなった。
そして決定的な証拠がいくつも見つかり、複数の強姦事件の犯人として再逮捕されることになる。
更に勤めていた会社で不正資金のプールや横領の事実が発覚し、訴えられることになった。
一連の事件は実名、顔写真付で連日連夜報道され、テレビ、ネットの両方で数ヶ月に及ぶお祭り状態になった。
奥さん実家の尽力によって俺達を含む被害者女性にマスコミの好奇心が向かないように配慮してくれたことも大きい。
ヤツは完全に四方を敵に囲まれ、まさしく四面楚歌の状態で最後を迎えることとなった。
さて、これだけでも"ざまあ見ろ"と言いたいところだが、もっとザマァと思った事実が後になって発覚した。
なんと強姦魔は警察が逮捕の為に家に押しかけた時に、窓から逃亡を図ろうとして、飛び出した道路でそのまま交通事故に遭った。
そして一命は取り留めたものの、当たり所が悪くて男として使い物にならなくなったそうだ。
正確に言うと車に轢かれたとかではなく、飛び出した先の車道で走行中の自転車にビビってもんどりを打ち、縁石で転んだ先に運悪く飛び出し防止のポールがそそり立っていた。
哀れ。男はそのまま金属製のポールに向かって転倒し、全体重に落下速度を加えた衝撃で股間を強打。
悶絶を繰り返した後に泡を吹いて気を失い、救急車で病院に搬送されたが、睾丸と陰茎が潰れて激しく損傷し、緊急手術で切除。
見事に"玉無し"、”竿無し”となったそうだ。
これを聞いたときは思わず爆笑するしかなかった。
希美も加害者的な罪悪感からか爆笑こそしなかったものの、笑いを堪えすぎて引き付けを起こしていた。
逮捕、離婚、訴訟、そして自慢の肉竿切除に種なしと。
女性を食い物にしてきた極悪クズ男の末路は、完全に救いのないものとなったのだった。
早い段階で処置を施せば千切れた陰茎を元に戻すことが可能なケースもあるらしいが、医者の判断は切除だった。
ヤブとするか名医とするかは立場によって異なるところだが、ちょん切る判断をした医者にはグッジョブと言わざるを得ない。
ああそうそう、当然、ヤツと共に強姦と脅迫を繰り返していた悪い仲間達も同じような状況で塀の向こうに行くことが決定している。
どうやら野郎はチンピラグループのリーダー的立場だったらしく、組織立てて強姦を繰り返してきた史上まれに見る極悪人として、一生消えない罪の十字架を背負うことになった。
希美の尊厳を奪った強姦魔は、これから長い人生を償いで過ごすことになる。
10件以上にも昇る強姦被害の女性達から一斉に訴訟を起こされている為、裁判費用も馬鹿にならないだろうし、証拠が集まりすぎてて勝訴できる可能性は皆無。
こんな負け戦に
男としては二度と復帰できないし、損害賠償の支払いは莫大な金額となったため、恐らく死ぬまで借金に追われることになるだろう。
女の尊厳を奪った男の末路は、まさしく因果応報という言葉に相応しい結末を辿ることになった。
こうして、一連の事件は幕を閉じ、俺と希美は奪われた関係性を取り戻す事に成功したのだった。
◇◇◇◇◇
更に後日談
裁判などもあったが、証拠が十分なのと、やっていることの非道さも相まって相手側の控訴は全て棄却。
執行猶予無しの実刑判決が下り、女性を食い物にしてきた男は重い刑に処されることとなった。
傍聴席から見た野郎の顔は、俺達を見下していた時からは想像も出来ないくらいやつれ果て、死んだ魚のような目をしていた。
俺達の雇った弁護士がかなり優秀で、男からはたっぷりと慰謝料をふんだくることに成功している。
ちなみにヤツら全員、出所してからも借金から逃れる術は無い。
元奥さんの実家の力で決して逃がさず、全ての金を精算するまで飼い殺しになるらしい。
ヤツは残りの人生を損害賠償の支払いで、死ぬまで罪を償いながら働き続ける事になる。
ざまあ見ろだ。
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