クラス転移してガチってたカードゲームの世界に来てしまったので無双したいです
十八万十
山編
第1話 転移とドラゴン
キーンコーンカーンコーン
「はい、じゃあ授業を始めるぞー」
「起立!礼!」
「「「よろしくお願いします!」」」
「着席!」
「じゃあ、前回やってた授業の内容をおさらいするぞー。教科書82ページを開け〜。」
「じゃあ前回の宿題の答えだが、今日は9月25日だから25番。藤井。練習問題6の答えは?」
俺が当てられてしまった…。
今日は他の授業でも当たるからやだな……。
俺は席を立ち上がり一言。
「……わからないです。」
「そうか。じゃあ、誰か他の人答えられるか?」
俺の左前の人が手を挙げる。
「お、田中!答えはなんだ?」
「そこは#####が####で##が###なので#######かつ###です。よって答えは1です。」
「田中!完璧だな!さすがだ!」
彼女は
俺が密かに思いを寄せている相手だ。
この学校の中ではカーストトップにいて、陰キャやオタクにもやさしく、かわいくて頭も良い完璧な美少女だ。
ちなみにさっきの###は俺が田中さんの言っている言葉の意味がわからなかっただけだ。安心してくれ。
「じゃあ例題7をやってくぞー。これもさっきの問題と同じだな。」
いつも通りの平和な日。
それは、いつ消えるかわからない。
———
突然みんなは洞窟の中にワープしていた。
椅子と机とリュックごと。
それ以外は服だけだ。
「ここはどこだ?問題がないなら授業を再開するが…。」
「先生!問題しかないので授業はダメです。」
「この洞窟、圏外になってる…スマホ使えない。」
「ん、山田お前学校にスマホ持ってきちゃダメと言っただろう?没収だ」
「先生、ここ学校じゃないので許してください。」
みんなパニック状態だ…。
———グァァァァアアアアァァ
洞窟の奥から龍の叫び声のような音が響いた。
既に泣いてる人もいる。
みんな先生の周りにくっついて助けを求めているが肝心の先生は放心状態だ。
だが俺はただ1人だけ、この音に聞き覚えを感じた。
とあるカードゲームのドラゴンの鳴き声に酷似…いや、一致していたのだ。
そのドラゴンは設定の中ではとても老いていて、優しかったはずだ。
俺は敵対しなさそうだということを伝えるために後ろを振り向いた。
が、そこに誰もクラスメイトや先生はいなかった。
「逃げたのかな…。」
俺はそのドラゴンを確認するために洞窟の奥深くへと進んでいった。
するとそこには白い髭と緑色の体が特徴的なドラゴンがいた。
「グアァァァァァァ!!」
やはり敵対はしていない。
というよりなぜこいつがここに?
【地龍神バラフィオル】
俺のやっていたカードゲームのクリーチャーだ。
もしかして俺らはカードゲームの世界に来てしまったのではないだろうか…。
だとしたらここにいないみんなが危ない。
バラフィオルは優しいが、他のクリーチャーはそうでもないやつが多い。
俺はみんなを探すためにこの場を離れようとした。
『待て』
今、明らかにバラフィオルから声が…
「どうかしましたか?」
『見ず知らずの人間よ…我をここから出してくれないか…?』
「何故でしょうか、あなたの実力があればそこから出ることは容易い事では?」
なんで敬語かって?
こんな迫力のある龍を前にしているんだ。敬語にならないほうがおかしい。
『とても恥ずかしいのだが…我の首の枝が岩に引っかかっていてな、少しでも動くと折れてしまいそうなのだ。』
「私はその枝の突っかかりを直せば良いのですか?」
『そうだ…。しっかりと礼はさせてもらう。頼むぞ。』
俺はバラフィオルの顔の横を通り過ぎ、岩と岩の隙間に挟まっている枝を見つけた。
俺は枝を両手で持ち、岩から引っこ抜いた。
「終わりました。」
『ありがとう。何か我にできることはあるか?』
「じゃあ…一緒にここに来た仲間がいるんですけど、探すのを手伝ってもらえませんか?」
『よかろう。我に乗れ。』
俺はバラフィオルの上に乗る。
余談だが、バラフィオルは俺のカードゲーム内での相棒であり切り札なのだ。
能力もパワーも強くて見た目もかっこよく、本当に好きだった。
『速すぎて落ちるでないぞ。』
宣言通りに風よりも早いスピードで洞窟の中を進む。
そしてついに外の光が見えた。
俺らは山の崖から外に飛び出した。
「うわ〜。すげぇ〜。」
『外に出るのは我も久しぶりだ。前と大して変わっとらんな。』
景色を眺めていると山の中腹で座っている人がいる。
「あっ!あれ!」
『あやつが仲間か。では、我の役目はこれで終わりだな。』
「ありがとうございます!」
バラフィオルは山の中腹で俺を下ろした。
『それと、これを其方にくれてやろう。我の
「魂紙ってなんですか?」
『特定の場所で我を召喚することができるものだ。』
「わかりました!ありがとうございます!!!」
『さらばだ。』
バラフィオルはすぐに飛び去ってしまった。
そこにいたのは
中学の頃からの俺の親友だ。
「おい翔吾…今、あのドラゴンに乗ってたよな…?」
「そうだ。そんなことよりも他の奴らは?」
「みんな下山した。俺はお前を助けるためにここに残ってたから他は知らない。」
「そうか。」
俺は山を下ろうとした。
しかし、太陽に止められた。
「探しに行くのか?」
「当たり前だろ?」
「やめとけよ…。みんなお前を見捨てたようなやつだぜ?」
「皆んなは俺がいないこと知ってて逃げたのか?」
「先生が翔吾を囮にして逃げようって言った。それに釣られてみんな逃げた。」
「そうか。ならみんな探しに行かないとだろ。」
「なんでだよ。」
「俺が先生をぶっ倒してやりたいからな。」
「わかった。一緒に行くぞ。」
俺らは2人で歩き出した。
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