学園生活の幕開け

いよいよ、この日が来た。今日からリリカは、1年C組の生徒として学校生活を送るのだ。


まだまだ問題は山積みだけど、とにかくやってみないと始まらない!お友達も、出来るかもしれない!リリカは、楽観的で前向きな性格だったのだ。


今日までお世話になった当直室から制服を着て、ドキドキしながら廊下を歩く。

教室がある校舎には、沢山の生徒が歩いていた。



「あ!見てあの子。この前死体に間違われてた子じゃない?」

「制服着てるじゃん。転校生だったんだ。」

「侵入者とか言ってたやつ誰よw」



自分の事だと思われる話をヒソヒソされている。ちょっと嫌な感じだなー...。そう心細くなった時だった。


「あら。制服がとっても良く似合ってるわね!可愛いわ。」


「あ!アンナさん!!おはよう♪会えて嬉しいな。」


「おはようリリカ。私も嬉しいわ。いよいよ今日から学校生活が始まるのね!困った事があったら、すぐに私にお話してね。」


「うん!分かった。ありがとう!さっそくだけど、1年C組の教室の場所を教えて欲しいな。」


「もちろん!一緒に行きましょう。」


リリカは、不安な時にアンナに出会えて、ほっと一息着く事が出来た。なぜなら、リリカにとってアンナは、学園で始めて出来た大切なお友達であり、先輩であり、恩人だからだ。


「着いたわ!ここよ。」


「アンナさん、ありがとう。私、頑張るね。」


「ええ。リリカなら大丈夫よ!お昼休み、私はいつも温室でランチを食べているのよ。もしランチのお相手が居なかったら、いつでもいらっしゃいね。」


「分かった!ありがとう!」


アンナは優しく笑って手を振り、3年生の教室に向かって歩き出した。リリカは、ふ~~~っと息を吐き出すと、勇気を出して教室のドアを開けた。


教室の中には20席程度の机が置かれており、数名で集まり談笑している者や、1人で読書をしている者など、各々で朝の時間を過ごしているようだった。

リカが教室に入った瞬間、皆は一斉にリリカの方を向いた。

すると、1番窓際の席に座っていた女子生徒が声をかけてくれた。


「あ!転校生でしょ?席こっちだよー!あたしの隣!」


「あっ!ありがとうございます!」


リリカは、テクテクと言われた席まで歩いて行った。


「あたし、レイチェル。あんたリリカでしょ?今日から寮の部屋も、あたしと二人部屋なんだよ!エレナから、あんたの事聞いてたんだ!」


「リリカです!ふつつか者ですが、よろしくお願いします!!頑張ります!!」



レイチェルは、オレンジのショートカットの髪の毛に、ソバカスが似合う元気な女の子だった。

明るくて、頼りになりそうだな。リリカは、寮のパートナーがレイチェルみたいな子で良かった。と、嬉しくなった。  


リリカが席につくと、すぐにチャイムが鳴り、エレナが教室に入ってきた。


「はーい。みんな席に着いてー!!出席を取るよー!!」


みんなが席に着いたのを確認し、エレナは名簿を手に話始めた。


「出席を取る前に。転校生の紹介をします。今日からC組に新しく入りました。リリカ トウジョウさんです。みんな、仲良くしてね。リリカさん、前へどうぞ。」


みんなの前で自己紹介なんて、ドキドキして緊張する!だけど、勇気を出して声を出した。


「はじめまして。リリカです。友達になってくれたら嬉しいです。よろしくお願いします。」

そして、ペコリとお辞儀した。


すると、1番後ろの席の、ならず者。ヤンキー。ツッパリのような男子生徒3名の内1人が、ニヤニヤしながら「しつもーん!」と手を上げた。


エレナは、「なんですか?ダレル君。」と、質問を許可した。


「えーっとー。リリカさんは、中庭で倒れてた不法侵入者ですよね?なんで生徒としてここにいるんですかー?」


「きちんと名簿に認められたからよ。どんな理由があれ、資格も無いのに学園への入学は許されないわ。」


「へー。」


ニヤニヤニヤニヤ。嫌な感じだな。あまり歓迎されていないのは、すぐに分かった。

そんな空気を感じ、エレナは困った顔をし、レイチェルは後ろを向いて、男子生徒らを睨みつけるように見つめていた。


「リリカさんは今日から学園に通い始めます。まだ知らない事も沢山あるの。みんな、親切にしてあげてね。色々な事を教えてあげて!リリカさん、席に着いてね。」


「はい。」


リリカが席に着くとレイチェルは、

「あいつら嫌な感じだろ?バカの集まりなんだ。あんなの気にしなくて良い。」

と、声をかけてくれた。


「うん。気にしない。ありがとう。」リリカも、そう返事をした。


一方で、ダレルとその仲間達は、未だにニヤニヤしながらリリカの背中を見つめ、ヒソヒソと何か悪巧みをしていた。

すると、ダレルは人差し指をクルクルと回し、リカの方にその指をピッと向けた。

それと同時にリリカの頭の上には大量のスライムが現れ、さらに人差し指をピッと下に向けると、そのスライムが落下し、リリカは頭から全身、ベトベトのスライムまみれになったのだ。


「はーーーーっはっはっはっはっwww」


「きーーーったねーーーwww」


「不法侵入者にお似合いじゃね??ウケるw」


ダレル達は、全身スライムにまみれたリリカを見て大笑いしている。

リリカは、あまりの出来事に顔を上げられなくなり、俯いて固まっていた。


すると、エレナがダレル達のいる席に向かって歩き出した。


「ダレル君。あなたがやったの?」


「えーー。だってさー、不法侵入者とか怖いもん!クラスメイトとか無理無理無理w」


「あなたがやったの?って聞いてるのよ。」


「はー?何?うるっせーよ。ババア。」


ブチッ。


何かが切れる音を、教室にいるクラスメイト達は聞いた。


次の瞬間。エレナがダァァーーーンと、拳でケントの机を叩いた。すると、机が真っ二つに割れ、さらにダレルの頭を鷲掴みにすると、

「あなたがやったの?」と、ニコッと笑って質問した。

「ねえ?あなたがやったの?ねえ?そして、先生に、クソババアって言ったのは、そのお口かな?」


「クソは付けてねぇよ!!離せ!離せよっ!!」


ダレルは、自分の頭を掴むエレナの手から逃れようと必死に藻掻いてみるが、見た目からは想像出来ないエレナの力から、逃れられずにいた。


「くそっ!!この怪力ババァ!!!」


「ママに代わってお仕置きよ!!廊下に立ってなさぁーい!!!!」


エレナはそう言うと、掴んだケントの頭ごとポイッと上に投げ、落ちて来た瞬間頬に思いっ切りビンタをかました。すると、ダレルはドアをぶち破り廊下に飛ばされ、完全に伸びて気を失った。


エレナは再び教卓の前まで戻ると、


「みんな。新しいお友達には優しくしようね?先生、意地悪は許さないよ?」


とクラスに声をかけた。クラスの皆は、エレナの威圧感に萎縮しながらウンウンと頷いていた。


「先生!あたし、リリカと一緒に医務室に行ってきて良い?」


「レイチェルさん、ありがとう。リリカさんをよろしくね!」


「ほら。行こう。」


そう言って、ドロドロになった制服を綺麗にする為に、リカとレイチェルは医務室に行く事にした。


廊下に出ると、伸びたダレルが白目を向き、泡を吹いて倒れている。その姿を見つけ、レイチェルは思いっ切りダレルの腹に蹴りを入れた。ダレルは「う"っ」と呻き声を上げると、再び気を失った。リカはレイチェルに習い、身体中についたスライムを手に取り、ダレルの顔中に塗りたくった。


「ははは!やるじゃん!!リリカ。あんなバカな奴ら気にすんなよ。ベトベトの制服も、ウィルの洗浄魔法ですぐ綺麗になるよ。」


「うん。ありがとう。大丈夫!レイチェルが友達になってくれたもん!」


「いいねー!強いな!次やられたら、絶対一緒にやり返そうな!」


「うん!絶対負けない!!ありがとっ!!」


そうして医務室に向かう二人の姿を、図書室の窓から見つめる生徒が1人いた。

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リリカルリリカ〜謎の少女と落ちこぼれパーティーの学園物語〜 @2konono

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