善と悪がオセロで勝負する

菜の花のおしたし

第1話 白と黒

人間の言うところの年変わりの日に、もののけは会うことにしておりました。

それは、長い長い間続いてきたのでございます。


もののけはオセロをするのでございます、

黒の持ち駒は悪が持っておりました。

白い持ち駒は善が持っておりました。


勝敗は黒が多くて決まる時もあれば、白が多くて決まることもございました。

その年は10回も勝負をしましたが、黒と白の数は同じでした。


「つまらぬ!何度やっても同じではないか!気に入らぬ。」

「そうした年もありましょう。良いではありませんか。」

「いやいや、主はそれで良いかもしれぬが我は納得がいかぬのじゃ!」

「ではどうすれば良いとおっしゃるのです?」

「ううむ、ううむ。」悪は腕組みをして考え込んでいたが、何やら思い立ったようで膝を叩いたのでした。

「人間の赤子を三人用意するのだ。その三人の赤子に、我は黒カラスをつけようぞ。主は白鷺をつけなされ。」

「赤子三人に悪と善をつけるでございますか?」

「そうじゃ、黒と白の羽持ちの悪と善の使者じゃ。赤子にぴたりと付き

その耳元で囁くのじゃよ。

黒カラスは悪を囁く。主の白鷺は善を囁く。さてさて、赤子は大人になり悪人となるか?善人になるか?それで勝敗をきめるのじゃ。」

「何と言う恐ろしいことを考えるのでございます。人の生涯を遊びの道具にするとは、、、。」

「嫌ならそれでいい。ただし、我は黒カラスを赤子に付けるからの。それは悪人にしかなれぬがの。それで良いなら、、。」

善は悩みましたが、無垢な赤子をみすみす悪人にするのは忍びないと思いました。

「わかりました。このお話をお受け致しましょう。」

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