【官能系】小春日和の並行世界「活動の男」
ヴェガ猫
第1話 【官能系】小春日和の並行世界「活動の男」
暖かい小春日和の日差しが注がれている道を子供達の愉しげなざわめきが通り過ぎてゆく。
「……動かすよ……」
昨夜の冷たい風はおさまり、
静かな休日の昼前に、外の光の世界とは別の
薄暗い部屋の中、俺は重ねた彼女の体温とナカを感じている。想いびとも俺を受け入れてくれている。
熱い……
Y哉は顔を上げた。目は欲情で潤んでも、昨日捉まえた想いびとの瞳の戸惑いはしっかりと分かった。
けれど……
今この想いを遂げないと俺はどうかなってしまう
ひりついた塊が中心部に集まってくる、
あぁ……堪らない、この熱いモノを彼女の中に注ぎ込みたい。
ゆっくりと身体を起こして、もう一度思いびとの年上の人を見る。
綺麗な髪の毛を撫でる、キスもする。
愛しくてたまらないのに、
(まだもの凄く迷っているんだ……な)
と、痛む。
でも今はもう繋がっているんだ、今は……
彼女の中の温もりを腰と熱いモノでゆっくりと擦りながら、表情の変化を追う。
あぁ、俺も手一杯だ、破裂しそうな渦の中心に呑まれかけてる。
この奔流のまま、彼女をきつく壊れるほど抱いてはいけないのだろうか?
したい、
凄くしたい
もう何も聴こえない、目の前の両腕を思い切り掴んで強くキスをして、体を更に深く沈めた。
――――――――――――
ずっと好きだった。
年上の上司A奈が入院から戻って来て、直ぐに突撃しようとしたら、元カノの子に聞かされた。
「A奈さん子宮の病気だったんだってね」
続けて、「そういう病気の後ってセックスも怖くなる時もあるらしいよ、突撃やめとけば」
気づいてたの? 俺の気持ち。
そして、そう言う病気だったのかって驚く。
一昨年に転職してきたこの会社で、出会った「女性の上司」は初めてで、
けれど、一緒に仕事をしていて、働く意義とか、やり甲斐を初めて感じた。
営業で組まされて、一緒に挨拶回りとか、見積もりとか、準備とか、ブラックだった前職より遥かに教えて貰えた。
そして俺の失敗も成功も公平に評価してくれてた、素直に嬉しかった。
(頑張ってるね、無理はしないで良いよー)と励ましてくれたりして、嬉しくて、
犬系の俺は調子に乗ってしまった。
やり過ぎて失敗してしまった日には、
(あー、君のせいじゃ無いのよね、私が伝え方間違った、でも次からは此処はこうして下さい、ふふ)
キュンとなる慰めを貰った。
さり気ない笑顔や、たまに見せる恥ず顔に(プププゥー笑)てなりながら尊敬する思いと共に、
好きかも、と気持ちがマシマシになっていった。
俺より少し低い身長に綺麗な髪の毛がゆるっとくせ毛で可愛い……。眼は大きく無いけど冷静な時と間違えちゃった時のびっくり顔の時のまん丸とのギャップも萌える。
姿勢が良くってキリッとしてるし、
横顔の透き通る肌にドキドキもした。
何回か迫ってみた事もある、が、
「はっ?、からかってるの?」
まるで暖簾に腕押し、チャラい奴だというレッテル付けられただけっぽい。
失敗したかも。
苦笑する。
そのまま、暫くして、去年の冬にA奈が入院する事になったと、あっさり部長から告げられて、数ヶ月後の現在に至る。
(1人で頑張りすぎて居たんじゃね!?)
去年、1人になったと噂があった。仕事上では旧姓だったので、あくまで噂レベルだったのかも知れないが、
想いに沈んでいると、また、元カノに怒られた。
「男だけの論理で迫っても何にも進まないでしょ〜よ 怒」
艶のあるピンク色ネイルの指を俺の目の前でクルクル回しながら、何故怒るかな?
「え? 駄目なの? 何が何が! 俺は大丈夫だよって言ったら?」
「……ばーか……」
珍しく激し目に言葉を投げつけて、元カノは仕事に戻って行ってしまった。
A奈に振り向いてもらえなかったから、付き合ってた同期のコなんだが、コッチが振られた。
(アタシ以外のヒトを考えてる野郎とはもうセックスしません!)
ベッドの上でばちーんと頬を張り飛ばされて、
それから説教喰らって振られた。
以後は、ただの同僚として付き合ってくれてる。
いい奴だ。
――――――――――――
「ご迷惑をお掛けしました。」
今年の春に仕事に復帰したA奈は、バリバリ仕事をしているように見える。
(迷惑なんて誰も思ってませんって、)
と皆んな言ってる、良い職場だ。
戻って来てから、いつも通りに働き始めてる、
俺にも普通に接してくれる。
一緒に営業先にも、報告しにも行った。
けれでも、ずっと俺には、無理してるように感じる。
凄く頑張ってる。
だって、入院前から青い顔をしてた。勿論、心配していたので何回も伝えた。
コッチもケンもほろろだった。
何でか胸が痛い、
どう伝えればいい?
好きでもあるし尊敬もしている人が自分を引っ張り過ぎていて、それはゴムのよう。
いつか切れるのではないか、また倒れるのでは?
どうすればいいのだろう?
何をどう考えれば、男の論理ってモノから離れられるのか?
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