第2話
放課後、伊達くんは本当に私の教室にやって来てしまった。
「しいちゃーん」
ヒラヒラ手を振り、笑う伊達くんに私の周りはかなり驚く。
そして私のクラスの伊達くんの女の子達は笑いながら伊達くんの所に向かう。
「ちょっと、泰睦くん。いくらなんでも幅広げすぎー。
尾木さんまでたぶらかすってどんだけ女好きなわけ?」
「えー、たぶらかしてないよー。放課後二人でデートなだけ」
「それを世間ではたぶらかすって言うの!」
その風景を私は遠くから見て見ぬフリをする。
……いや、だって。
伊達くんの手は松田さんの腰だし、松田さんは伊達くんに寄り掛かってるし。
というか、伊達くんの彼女さんはこんなの許しているのか……?!
そう思って目を伏せる私に伊達くんは少し面白そうに笑った。
「じゃーね、りっちゃん。また明日」
「尾木さんに変なことしないよーにね」
「あははー。分かんなーい」
……分からない?!えっ?!
分かってくれないと、困るっ!
身の危険を感じた私はできるだけ伊達くんと離れて歩く。
「しいちゃん、遠くない?」
「いえ、そんなことないです」
できるだけ目も見ず、関わらないようにした。
……道案内してもらってる立場でさすがに失礼なのは分かってる。
分かってるけど、危ないものは危ない。
「……しいちゃん」
一歩近付く気配を感じ、私は一歩遠ざかる。
それを繰り返していたら車が前から来てしまい、伊達くんは慌てて私の腕を引くから私は勢い良く腕を払う。
きけん、きけん、きけん!
「……あのー、しいちゃん?
それは俺への当てつけですか?」
「ち、違う、けどっ!伊達くん、危険っ!」
「君の彼氏も相当危険だけど」
「菅野くんは優しいもんっ!
伊達くんはダメ男じゃんっ!」
彼女いるのに、あんなに色んな女の子に、あんなにイヤらしいことするなんて女の敵にもほどがある!
こんなことなら伊達くんじゃなくて古川くんに聞けば良かった。
それか、クラス変わっちゃうけどまだ野上くんのがマシだった。
菅野くん、その三人しか友達いないけど、どうして私はよりによってこんな最低野郎を選んでしまったのだろうか。
「あ、しいちゃんこっちだよー」
触ろうとしてきたので、慌ててパシッと手を払ったら、また面白そうに笑われた。
「俺ねー、エスだから。
嫌がる女子をってパターン、大好きなんだよねぇー」
「?!
き、聞いてないよっ!」
「恥ずかしそうにしたり嫌がる女の顔とか大好き」
「……?!」
「まぁ、都ちゃん限定でね」
そして私から離れて、さっさと歩き始めた。
「……都先輩のこと、本当に好きなの?」
「うん。
しいちゃんが保のこと好きなのより多分、もーっと好きだと思う」
なんか、挑発的な感じだ。
ムカつくけど、逆らう勇気は持ち合わせていない。
しかし、好きならどうして他の女の子達と、これみよがしにイチャつくんだろう。
「都先輩のこと好きなら、どうして他の女の子にあんなに触ったりするの?」
「あぁー。
しいちゃんみたいなガキには言っても分からないだろうなー」
……かっちーん。
「そ、そうですか……」
「しいちゃんみたいに何も考えてないような、何も知らないような、夢見がちチェリーガールには大人の世界は理解できませんよ」
よしよし、とか言って頭撫でられたんですけど。
……ムカつくっ!
けど、なんか、かっこいい……!
悔しいっ!
「都先輩、かわいそう!」
「うん。かわいいよね」
私はかわいそうって、言ったのにっ!
話も噛み合わないし、なに考えているかも分からないし、危険な香りしかしない。
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