新たな変身ヒロイン
「ここが調査対象の場所ね」
「気をつけてね、ブルー」
「ピンクもね」
一月前、とある地区で大きな魔力反応があった。
街一帯を壊滅させるほどの魔法が確認され、その後は障壁に阻まれて確認できなくなってしまったのである。
何度か調査チームが出されたのだが、そのチーム丸ごと行方不明になったという話であった。
そこで、比較的近い場所で活動していた、私達。
特捜戦姫ヴァルキュリアのブルーである私と相方のピンクで調査にやってきていたのだ。
一帯を覆う障壁だが、どうやら視覚的に隔離しているだけで侵入などは防いでいないようであった。
「ピンクはどう思う?」
「行ってみないと分からないよ」
「それもそうだね」
私達は意を決して障壁を通って中へと入っていく。
「これは……」
「なんか拍子抜けだね」
中は思った以上に普通であった。
ビルは何も壊れておらず、一般人が普通に生活をしている。
一帯を破壊するほどの魔力を感じたというから、中はボロボロで1人も生きていないことも覚悟していたのだが……と、その時である。
「お前はギャルブン!?」
「こんな所で何を企んでるの!」
目の前で発見したのは、私たちが戦う組織、カノージの女幹部であるギャルブンであった。
「え、ああ、特捜の2人か。
おひさ〜」
「え、お、おひさ〜?」
「ちょっと、ピンク……何を相手のペースに呑まれてるの?
何を企んでるのか、吐きなさい!!」
「企んでるって……まだ、そんなつまらないこと考えてんの?
2人ともおっくれってる〜⭐︎」
若干イラッとする物言いだが、真面目に相手をするつもりがないなら仕方ない。
「こうなったら武力行使だ!
行くわよ、ピンク」
「え、ああ、うん……ひゃっ!?」
若干歯切れの悪いピンクの大きな尻を文字通りに引っ叩く。
それでようやく覚悟が決まったのか、ピンクは私に合わせるように動き出した。
「あ〜あ、この街で暴れるなんて……私、しーらない」
あくまでも真面目に向き合わないギャルブンに私達の拳が……届かなかった。
何らかの障壁に阻まれてしまったのである。
「やれやれ、また懲りずに暴れる輩がやって来たのね」
「お母様、私がやっちゃっても良いですか?」
「もう、しょうがないわね」
「くすくす……はーい」
目の前に現れたのは髪色以外はそっくりで、双子と見間違わんばかりの魔法少女であった。
彼女達は一つの大きな鎌を横にして浮かせて二人乗りをしていた。
しかし、どちらも纏っている魔力は清浄とは程遠い。
「貴女達はギャルブンの手下ね!?」
「え〜そうなの、ギャルちゃん?」
「ええええええ、め、め、め、滅相もございません!!
こら、余計なことを言うじゃないの!!」
いつもは余裕綽々なギャルブンが珍しく焦っている。
「あ〜心地よいストレスが流れてきたから許してあげる。
それじゃ、早速始めましょうか!」
「来る!?」
少女のうちの片方……銀色の髪をした魔法少女が鎌から飛び降りてきた。
咄嗟に迎撃しようと構えるの……だが。
「な、何をしてるの!?」
「ブルー、ごめんね!
この街に来てから何か変なの!!」
突如としてピンクが私を羽交締めにしてきたのであった。
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