茜のお父様
二話連続更新です!
前のプロローグをお先に読んで下さい
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体育祭は平穏に終わったとは言えなかった
最後に茜が倒れてしまった
…これも病気のせいなのだろうか
それから一週間が経過した
あれから茜は学校に来なかった
「…心配だな」
「そうね」
「俺がもっと頼りになれば…!」
「…」
そうだ
俺にもっと茜を支えられるような力があれば!
「…めればいいのに」
「ん?なんか言ったか?」
「いいえ、何も」
そう言えば、あの日から蛇腹も変わってしまった
一人で考え込むことが多くなった
蛇腹も何か悩みがあるのだろうか
そんなことを思っているとクラスが騒がしくなる
「何かあったの、か…」
皆の視線の先を見るとそこには
「あか…ね」
いつものように元気溌剌な彼女ではなかった
目は虚ろで、ずっと下を向いている茜がそこにいた
「…茜」
意を決して声をかける
「あれ?昭良じゃん!久しぶりだね!」
「お、おう」
気のせいだったか
いつもの声色だ…
そう思ったのも束の間
茜が顔を見上げて気づく
…目は虚ろなままだった
あれはいったい何だったんだろう
俺はあれから茜と放課後まで話すことができなかった
今も茜より先に学校を出ている
…正直に言うと茜が怖い
何を考えているのか分からなくなっちまった
いつもと違うと思ったら、いつも通りのようで
いつも通りと思ったら、そんなことはなくて
茜が無理をしているのは分かっている
だけど…無理をしているには慣れすぎてないか
まるでいつも無理しているみたいだ
「…あーわかんねぇ」
そもそも俺は人付き合いを避けて生きてきた
いまさら人の心を考えろと言われる方が無理な話で…
「こういう時に手助けしてくれる人いねぇかな」
「私でよければ、お願いしてもいいかな?」
「うお!」
いつの間にか隣にいたおっさんに声をかけられる
「あはは、すまないね
驚かせるつもりはなかったんだ」
「おっさん、どっかで見たことあるような…」
「話すのは初めましてかな
私は茜君の…父親のような存在だ」
「…あぁ!体育祭の
確か…お父様ですっけ」
「そうだね
私のことは、お父様と呼んで構わない
どうせ少しだけの関係だ
名前を覚えるまでもない
それはそうと、君が昭良君だね?」
「はい、そうっす
…俺の名前は知ってるんすね」
「茜君から聞いていたからね」
「そうか…」
茜が俺のことを…
そう思うと少し嬉しくなる
「ここで話すのも何だ
近くの喫茶店にでも入ろう」
「わかりました」
そうして連れてこられたのは小さな喫茶店
平日だからか人がほとんどいない
精々、サラリーマンが気分転換に仕事をしに来ている程度だった
「ここは?」
「昔からあるんだよ
私が高校生の時はよくここで勉強したものだ」
「はぁ…」
「ここのコーヒーは美味しいんだ
奢ってあげるよ」
「いえ…俺、コーヒー飲めないんで」
「そうかい
じゃあ早速本題に入ろうか
茜君の精神は、もう限界だ」
「…そんな気はしてました
どうすれば俺は茜の手助けをできるんすか?
俺だって助けになりてぇ!
…すみません、少し興奮してしまいました」
「仕方ないよ
好きなんだろ?」
「…え⁉いや!そそそそんなわけないじゃないですか」
「あはは
分かりやすくて可愛いね
…そんな君だから託せる」
「俺だってどうすればいいか分かりませんよ」
「三人寄れば文殊の知恵ってやつだ
一人では出ないような意見も三人で話し合えば出てくるさ
まぁ二人だけどね」
「それもそうですね
…三人、か」
「何か考えでもあるのかい?」
「一人、俺の友達に人の心に詳しそうな人がいます
明日、ここに来るように説得してみます」
「…そうだね
人数は多い方がいい
じゃあ今日は解散かな
私は遅れて出るから
また明日」
「ええ、また明日」
急いで喫茶店を出て、連絡する
『蛇腹、話がある』
すぐに返信は帰ってきた
『そう、私もあるわ
ココに集合ね』
それと同時に地図情報も送られてくる
「…は?」
そこは…遊園地だった
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