第39話

翌日。昼休み。


ばっしーが深刻そうな顔をして、話しかけてきた。


「りいちゃん、あのさ…」


「ん?」


「空手部、楽しい?」


「うん。それがどうした?」


あたし、何のためらいもなく言った。


次の瞬間、ばっしーから爆弾発言が飛び出す。


「私、空手部やめたい」


!!


ばっしーは、名山商店街に行った日を最後に、空手部に来ていない。よく考えれば、やめたい予兆だったのかも知れない。


「私がやめたら、りいちゃんもやめさせてしまうかなって…」


「ううん、そんなことねぇって。ばっしーと一緒って理由で入ったんじゃないし」


「でもね、私やめたら1回生の女子りいちゃんだけになるでしょ」


「そんなこと気にしないよ。演劇部は続けるん?」


「うん、演劇は楽しいから、やめるつもりはない。ごめん…りいちゃん」


「なに謝ってるの!」


ばっしーも、見えないところで悩んでたみたい。


あたしが、コーラス部に行きたくないと思っているように。


かけもちして、あたしは空手を選ぼうとしているけど、ばっしーは空手をすてようとしている。


その違いだけ。


ばっしー、分かるよ、その気持ち。


謝ることないさ。

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